フィギュアの衣装はどう作られる? 制作費50万円超が存在、“汗染み”の悩みも…
元フィギュアスケート日本代表で「THE ANSWERスペシャリスト」を務める中野友加里さんは、ビギナーファン向けに競技にまつわる素朴な「17のギモン」に答えるミニコラムを大会期間中、毎日掲載。9問目は「選手の衣装はどう作られてるの?」。
「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#56 中野友加里が答える「17のギモン」9問目
「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や恩師の知られざるストーリーや意外と知らない競技の知識など、五輪に新たな“見方”を届ける特集「オリンピックのミカタ」を展開。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアスケートを好きな人はもっと好きに、知らない人は初めて好きになる17日間」をテーマに連日記事を配信し、競技の“今”を伝え、“これから”を考える。
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元フィギュアスケート日本代表で「THE ANSWERスペシャリスト」を務める中野友加里さんは、ビギナーファン向けに競技にまつわる素朴な「17のギモン」に答えるミニコラムを大会期間中、毎日掲載。9問目は「選手の衣装はどう作られてるの?」。
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フィギュアスケートで際立つ選手たちの衣装。さまざまなこだわりを感じられるのも、魅力の一つ。
実際、どんな過程で作られるのか。「フィギュアスケートの衣装を専門で手掛ける衣装屋さんは、日本はもちろん世界各地にいます」と言う中野さん。バレエ音楽のプログラムを演じたシーズン、クラシックバレエを専門にしているデザイナーに依頼し、製作のために米国まで飛んだこともある。
「そのくらい戦う上で衣装は大切な表現要素の一つです。自分の肌の一部という感覚。フィギュアスケートの大会に出る以上は選手がいて、もちろんプログラムがあり、その中に衣装が存在しています。選手にとって欠かせないもの。とはいえ、いきなり有名な衣装屋さんに依頼できるわけではなく、最初は母の手作りでした。シニアに上がり、4大陸選手権などの大きな国際大会に出るようになって、依頼するようになりました」
どんなやりとりが行われるのか。
「一番に伝えるのは曲名です。デザイナーもプロなので、曲のテイストで世界観は掴んでもらえます。加えて、希望の色と自分の採寸。最初に振付師の先生に紹介してもらったのはロシアの方で、自分の希望を伝えると、デザインがいくつかメールで送られてきました。それを自分で選んで決めたら、実物が発送されてきます。なので、その方とは一度も会わずに衣装を完成させました」
こだわるのはデザインだけではない。「重いものをつけて跳ぶと、体重と同じで、そのまま余分な重さになります。キラキラと光るストーンの素材も軽さ重視。技術面で影響が出るため、軽量化するようにしていました」と語る。
それだけこだわりが強いと、金額もかかる。デザイン料を含め、海外デザイナーは「10万円以上は見込んでおいた方がいいと思います」と中野さん。高いものは50万円以上になるが、それだけ選手にとって重要なものである裏返しだ。