松山英樹のマスターズ制覇 涙した丸山茂樹が力説する価値「大谷翔平MVPと遜色ない」
2021年は、日本ゴルフ界にとって記念すべき年になった。男子は松山英樹(LEXUS)が、マスターズで史上初の海外メジャー制覇を果たした。女子は笹生優花(ICTSI)が全米女子オープンを制し、稲見萌寧(都築電気)が東京オリンピック銀メダルを獲得した。来年も日本勢の活躍が期待されるが、米ツアー3勝、国内ツアー10勝の丸山茂樹(セガサミーホールディングス)が、快挙の意義、選手たちが世界で結果を残し続けるための課題を「THE ANSWER」に語った。前編は「松山英樹がもたらしたもの」。(構成=柳田 通斉)
2021年の日本ゴルフ界を振り返る 前編は松山の「日本ゴルフ史上最高の快挙」
2021年は、日本ゴルフ界にとって記念すべき年になった。男子は松山英樹(LEXUS)が、マスターズで史上初の海外メジャー制覇を果たした。女子は笹生優花(ICTSI)が全米女子オープンを制し、稲見萌寧(都築電気)が東京オリンピック銀メダルを獲得した。来年も日本勢の活躍が期待されるが、米ツアー3勝、国内ツアー10勝の丸山茂樹(セガサミーホールディングス)が、快挙の意義、選手たちが世界で結果を残し続けるための課題を「THE ANSWER」に語った。前編は「松山英樹がもたらしたもの」。(構成=柳田 通斉)
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英樹のマスターズ優勝は衝撃的でした。日本選手が初めて海外メジャー4大会に挑戦したのが1932年、初めてマスターズに出たのが1936年ですから、文句なしで「日本ゴルフ史上最高の快挙」でした。
メジャータイトルには先輩たち、僕も近くまではいけましたが、手は届かなかった。マスターズに関しては、伊澤(利光)さん、(片山)晋呉が4位に入っていますが、優勝はほぼノーチャンスでした。英樹は違いました。最終日を2位に4打差の単独トップで迎え、最後まで自分のゴルフをやりきりました。優勝が決まり、僕が祝福のメッセージをLINEで送ったら、表彰式の直後に電話をくれて「やりました」って。もう、涙が止まらなくなりました。そして、「ありがとう」と繰り返しました。それは日本ゴルフ界の夢を叶えてくれたことに加え、これからの世代に大きな希望を与えてくれたことへの感謝の思いからです。
振り返ると1983年、青木(功)さんがハワイアンオープンで日本人初のPGA(米)ツアー優勝を劇的な逆転で飾り、僕らの世代が海外に目を向け始めました。そして、長い時を経て、僕がPGAで勝って、今田(竜二)、松山、小平(智)と続きました。そして今回、メジャー王者への道ができました。
かつて、僕は「タイガーやエルスらと日本人ではエンジンが違い過ぎる」と言いましたが、松山は本人のポテンシャルと努力で、PGAのトップ選手にひけを取らないエンジンを持つようになりました。さらに、アイアンの距離感が抜群でパッティングもうまい。そうしたコンビネーションがマッチするタイミングが年2、3回は来る。
なので、今後もオーガスタGCで毎年開催のマスターズだけでなく、全米オープン、全米プロでも優勝のチャンスは多いにあります。全英オープンについては、手前から攻めなければいけなかったり、気象条件や運、不運が大きく左右するコースでの戦いなので、何とも言えませんが、これからの選手は英樹に憧れ、「メジャー王者になりたい」と思えるようになりました。そして、「うちの子にゴルフをやらせてみよう」と考える親御さんも出てきたと思います。これが大きいのです。