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鈴木明子が考えるアイスショーの意義 活動資金、成長機会だけじゃない選手のメリット

活動資金、成長機会…得られるものが多いアイスショー

 私の場合は競技時代、アイスショーに出演する期間も、スケジュール通りに新プロを仕上げられるよう、まめにコーチに見てもらっていました。それでも、よいコンディションを作っていく難しさを感じていたものです。

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「競技をやっている間は、常に何が一番大切なのかを考えなさい」。これは当時、コーチから、本当に口すっぱく言われていた言葉です。

 アイスショーで滑っていても、技術や体力の強化につながる練習量には届いていないこと、ケガのリスクは常に伴うことを自覚して取り組みなさい。大会で結果を残せなければ、次の年のショーに呼ばれなくなることも理解しなさいと、繰り返し言われていました。

 それでも、アイスショーに出演することで得られるものは、たくさんあります。

 アイスショーに出演することで選手たちは、活動資金を作ることができ、新たなファン層の開拓にもつながります。

 そして何よりも、新旧、国内外の現役トップ選手やプロと、一緒に滑ったり、練習をしたりできる、貴重な機会です。

 国内外のトップスケーターとの交流は単純に一緒に滑るだけでも刺激になりますし、更衣室で聞ける会話ひとつとっても、同世代の選手からは聞けない話ばかりです。特に、先輩たちから五輪シーズンはどう過ごすのかを学び、アドバイスを受けられる点は、現役選手にとってすごく大きい。

 例えば、荒川静香さん(06トリノ五輪女子金メダリスト)プロデュースのアイスショー「フレンズ・オン・アイス」も、国内外のメダリストやオリンピアンが出演するショーの一つ(今年はコロナ禍により、国内選手のみで開催)。私自身、競技選手時代から出演させていただいていますが、ここでの経験はとてもプラスになりました。特にスケートの表現、そしてトップ選手としての意識の持ち方は、非常に刺激になりました。

 それに、大会が半年以上ないなか、人前でパフォーマンスする機会があることは、開幕へのモチベーションにつながります。現役の選手たちが集まるショーでしたら、互いに意識をバチバチにぶつけ合い、新しいプログラムの状態や観客の反応をみることにも意義があるでしょう。

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鈴木 明子

THE ANSWERスペシャリスト プロフィギュアスケーター

1985年3月28日生まれ。愛知県出身。6歳からスケートを始め、00年に15歳で初出場した全日本選手権で4位に入り、脚光を浴びる。東北福祉大入学後に摂食障害を患い、03-04年シーズンは休養。翌シーズンに復帰後は09年全日本選手権2位となり、24歳で初の表彰台。10年バンクーバー五輪8位入賞。以降、12年世界選手権3位、13年全日本選手権優勝などの実績を残し、14年ソチ五輪で2大会連続8位入賞。同年の世界選手権を最後に29歳で現役引退した。現在はプロフィギュアスケーターとして活躍する傍ら、全国で講演活動も行う。

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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