その距離、480キロ― 元五輪スプリンターが“東北の子供たち”の足を速くした方法
5人全員がタイム短縮、0秒7以上も続々…
クラブのメンバーも含め、29人のクリニックからスタート。半年前の初回も指導しており、「忘れた部分は思い出しながらやっていきましょう」という伊藤氏の掛け声とともに始まった。「大事なことは覚えてる? まっすぐな姿勢を取ること」と復習しながら、けんけん、スキップなど正しいフォームを身に着けるために必要な練習を実施。楽しみながら、取り組んでいった。
そして、1時間半の指導の締めくくりに行われたタイム測定。10メートルのけんけん、20メートルのスキップとともに50メートル走が待っていた。緊張した空気が流れる中、思い思いに全力疾走した。
内村修斗君(6年)は0秒79と大きく縮め、8秒07をマークした。7秒77の阿部陽友君(6年)、8秒10の安原掬乃さん(5年)も0秒7以上、8秒64の阿部利玖斗君(6年)、7秒92の岩城優月さん(6年)を含め、全員が半年前より速くなった。努力の成果が実り、子供たちはスタート前の緊張感が嘘のように、笑みをこぼしていた。これには見守った伊藤氏も嬉しさを隠せない様子だった。
ただ、これで終わりではない。半年後に行われる成果発表で集大成を見せる。最後に伊藤氏は「何でも工夫して頑張ってチャレンジしていけば、できるようになる。練習から頑張って、もっと力を伸ばしてください」とエールを送った。五輪に出場した元トップスプリンターと宮古の“小さなスプリンター”の挑戦はこれからも続いていく。
(THE ANSWER編集部)