金メダルへの道が見えた “鬼”から逃げなかった瀬戸大也、「耐乳酸」ボディーで挑戦
心も体も強靭に、自分の武器完成へ「逃げずにやれたもん勝ち」
標高2100メートルの米アリゾナ州フラッグスタッフの合宿で吐きそうになったこともある。乗り越えられるのも、自分でやると決めたから。胃の中のものとともに、弱音までも飲み込んだ。
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「凄く苦手な練習でメンタルも強くなるし、やっぱりそういう練習って高校生の時に凄くしてたなって思いました。大学生になると頻度が減るというか、筋肉も増えて回復が追いつかなくてちょっと避けている傾向だった。やっぱり東京オリンピックに向けて金を獲るためには、まず今年の世界水泳で金。そのために自分の苦手な耐乳酸トレーニングをやる。
『武器を作る』ですね。(コーチに言われてやったら)ビビってしまう練習。これをうまくこなせたら今年は間違いなく400メートル個人メドレーは金を取れると思うし、200メートルバタフライにも繋がってくる。200メートルバタフライで戦っていくには、やることは全てやっていかないと」
世界は強敵ぞろい。200メートルバタフライには、フェルプス級の逸材として注目を集める19歳のクリストフ・ミラーク(ハンガリー)がいる。6月のジャパンオープン後には、来日していたライバルと寿司に出かけた。猛者の姿を思い浮かべるほど「やっぱり自分が200メートルバタフライでやってく中での武器作りが必要」と刺激を受ける一方だった。
同種目の五輪は、04年アテネで山本貴司氏が銀メダルを獲って以降、松田氏、リオ銀の坂井聖人(セイコー)と4大会連続でメダルを獲り続けている。瀬戸にとってこの事実は、プレッシャーではなく背中を押してくれる責任感となった。
「バタフライを代表でやっている以上、世界の舞台で戦ってメダルを取り続ける種目でありたい。今回は2番手が派遣標準記録を切れなかった。毎年代表に入れるようにするのはもちろんですが、やっぱり日本の底上げとして世界で活躍するのが大事。日本に帰ってきた時に、みんなが目標にすると思う。まず今年の世界水泳で2大会連続メダルは確実に獲って、あとは色にこだわってやっていきたい」
2月には山本氏が水泳部の監督を務める近畿大で合宿した。先輩の写真が飾られる中で水をかくと「速く泳げている気がした」と不思議な感覚も。バタフライで一時代を築き、後半に強さを発揮する現役時代の姿は忘れられない。
「後半が本当に凄かった。それこそ武器があるじゃないですか。貴司さんのスパートの泳ぎもそうですし、やっぱり自分は何かしら200メートルバタフライの武器が必要。個人メドレーでは、武器を少しずつ作れてきているので、200メートルバタフライの武器を作るために、どういうところが得意なのか考えてやっていかないと」
4度目の世界水泳は、トビウオジャパン男子の主将で迎える。最も重きを置く200メートルバタフライの決勝は7月24日。東京五輪開幕のちょうど1年前だ。「そこが終わったら、本当に刻一刻と凄く時間が経つのが早いなと感じると思う。とにかく時間はすぐだというのを意識して、本当にやるべきことから逃げずにやれたもん勝ちかな」。リーダーとして逃げる姿を見せることなく立ち向かう。
◆世界水泳、テレビ朝日系で連日中継 7月21日に開幕する競泳は、決勝をテレビ朝日系地上波、AbemaTVで最終日まで8夜連続放送。予選はBS朝日、AbemaTVで放送する。
(THE ANSWER編集部)