「楽しい」を追求した競技人生の先に… “元不登校”砂間敬太のワクワクが止まらない
五輪を超える規模で2年に1度行われる水泳の“世界一決定戦”、世界水泳(テレビ朝日系で独占中継)が7月12日に開幕する。なかでも、注目を集めるのは競泳だ。金メダルを獲得すれば、1年後の東京五輪出場が内定する今大会。「THE ANSWER」は競泳開幕の30日前からカウントダウン連載を行い、出場25選手のインタビューに加え、特別企画を織り交ぜながら大会を盛り上げる。開幕まであと10日の第21回は、男子200メートル背泳ぎの砂間敬太(イトマン東進)が登場。小学4年から中学卒業まで学校に行かなかった異色の24歳が、競技人生に共通する「楽しい」の原点を探る。
「世界水泳カウントダウン連載」競泳開幕まであと10日―男子200m背泳ぎ砂間敬太
五輪を超える規模で2年に1度行われる水泳の“世界一決定戦”、世界水泳(テレビ朝日系で独占中継)が7月12日に開幕する。なかでも、注目を集めるのは競泳だ。金メダルを獲得すれば、1年後の東京五輪出場が内定する今大会。「THE ANSWER」は競泳開幕の30日前からカウントダウン連載を行い、出場25選手のインタビューに加え、特別企画を織り交ぜながら大会を盛り上げる。開幕まであと10日の第21回は、男子200メートル背泳ぎの砂間敬太(イトマン東進)が登場。小学4年から中学卒業まで学校に行かなかった異色の24歳が、競技人生に共通する「楽しい」の原点を探る。
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世界の猛者との真剣勝負を思い描くと、ワクワクが止まらない。昨年のパンパシ水泳に続き、砂間は日の丸ジャージーに袖を通した。今夏もトビウオジャパン入りを果たし、声を弾ませる。
「世界と戦う一番大きな舞台。(パンパシは)すごく楽しかったですし、やっぱりそこにいたいなっていうのもありますし、いなきゃいけない。初めての世界選手権で気が引き締まるというか、ちょっとテンションが上がってます。シニア代表は人生2回目なので」
4月の日本選手権は、憧れの入江陵介(イトマン東進)と対決。序盤から前に出た砂間は、最初の50メートルを27秒15とし、入江に0秒37リード。150メートルの折り返しでも先輩に0秒49と差を広げた。優勝まで残り20メートル。しかし、スパートをかけた入江に逆転を許した。最終的には優勝した入江に0秒27及ばず、1分56秒06で2位となった。
「素直に悔しいのが大きい。個人メドレーも棄権して、100メートル背泳ぎも棄権して臨んだ200メートル背泳ぎだった。やっぱり優勝したいというのが僕の中で一番の課題というか、日本選手権では絶対優勝しようと思って練習してきたので、それが実現できなかったのが悔しいかなと思います」
これまで主戦場の個人メドレーで萩野公介(ブリヂストン)、瀬戸大也(ANA)の背中を追ってきた。初の世界水泳切符を手に入れたものの、満足にはほど遠い。背泳ぎを牽引してきた入江との実力差を改めて痛感するレースとなった。
「昔からすごく速くて、ずっと見てきた選手。今でも憧れていますし、やっと最近少しずつ追いついてきた。今回は一番練習もしてきたし、手応えもあったので、やっと勝てるかなと思ったんですけど、やっぱりまだまだすごい存在だなって。やっぱり勝負強いというか、経験値の違いだなって思いました。(追う立場は)すごく楽しいです。追いかけることが好きだなって思います」
挑戦者のメンタルの持ち主は、レースで勝負を仕掛けることを忘れない。日本選手権は150メートルまでトップを守ったが「やっぱり世界を見ているので、世界は54秒台で入って1分24秒台でターンしている。日本人選手はラスト50メートルで上げるという安牌なレースが多い。それでは世界で戦えないなと思ったので、ちょっと積極的に泳ぎました」と分析する。
終盤の失速は高い目標を超えるために挑戦した結果。追う立場のまま、簡単には勝利を得られない。悔しさの残る成績に「まだまだ練習不足」と頭を悩ますが、新たな課題に喜びすら感じるようだった。
「やっぱり世界の選手と戦えるっていうのがすごく楽しい。日本ではやっと2番に上がって来られたんですけど、世界ではまだ5、6番。世界水泳になると、決勝に残れるかも分からない順位なので、まだまだ上に行けるぞっていうのがわかるので楽しいですね」
いつだって明るく、楽しく――。そんな童心を宿す24歳には、意外な過去がある。小学4年の途中から学校に行かなくなった。「いじめられたとかはなく、ただ普通に行きたくなかった」と理由を振り返る。ふとした時に学校に足を運ぶ。当然、周囲からは「昨日、なんで休んだの?」と質問が飛んだ。
「たぶんそれが嫌だったんだと思います。っていうだけなんですよね。次、1週間休んでしまったので『次、何て言われるんだろう』みたいな。それで行けない。1か月休んで、行けないみたいな。そういうのを繰り返すというよりも、ずっと続いちゃったという感じですね」