急成長の背景には平井コーチの褒め言葉 リレー白井璃緒「引っ張っていく存在で」
名将の人心掌握術で急成長、平井コーチ「褒めるとすごくうれしい顔をする」
水泳歴18年目にして「今が一番楽しいです」と言い切る白井だが、その理由を問われると少しはにかんだ笑顔を浮かべて言った。
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「え?。(平井)先生が褒めてくれるから? 速いタイムで泳ぐと先生はちゃんと褒めてくれるので、次も褒められるように頑張ろうと。見てもらいたい体質なんで、目立ちたいです(笑)」
大学でも代表チームでも師事する平井コーチは「家族のお父さんとは違うんですけど、水泳で戦っていくための頼れるお父さんのような人」だという。褒めてくれる存在ではあるが、「やっぱり厳しい」。並大抵の泳ぎでは褒めてはくれない。「どうしたら次も褒めてもらえるんだろう」「どんなタイムを出したら褒めてくれるんだろう」と考え、工夫を重ねながら臨んだ練習が結果に繋がっている。
平井コーチもまた、白井の成長に驚かされている一人だ。日本選手権に向けた準備期間では、会期中のウォーミングアップやレースを想定した練習を取り入れたというが、本番は想定通りの展開で2冠。「トレーニングも相当頑張るんですけど、メンタル面で手が掛からなくなった。どのレースも自信を持って臨めたのはコーチとしてすごくうれしいし、よく成長してくれているなと感じています。見ていて楽しそうだなとも思いました」と目を細める。
実は、大学進学を目前に控えた昨年2月、こんなことがあったという。コナミオープンで200メートル背泳ぎに出場した白井は、予選でまさかの25位。当時は「泳ぐのが怖い」とまで落ち込んだというが、今では今年の日本選手権を「自信があったんで緊張はしてないです。なんで周りは緊張しているんだろうって思いました」と振り返るほど。平井監督も「アレはどこへ言っちゃったのかな?(笑)」と首を傾げるしかない。
褒められて伸びるタイプという白井の自己分析に、「それはあります」と平井監督。「褒めるとすごくうれしい顔をするので(笑)。お世辞を言っているわけじゃないんですよ。『お前タフだな』って言うと『そうですか?』って喜ぶんでね」。人心掌握術に長けた名将の下、そのポテンシャルを余すところなく開花させようとしている。