「ただでは起き上がらない」 2度の入院生活から復活、進化した塩浦慎理の泳ぎ
無駄な脂肪を落としたコンパクトボディ「水の中で身体を動かすのが少し上手くなった感じ」
退院後は、減った体重を微増の89キロでキープしている。筋量が減ったかと思いきや、今年の日本選手権後は昨年の同時期と比べ、「200グラムくらいしかズレがなかった」。親交のある柔道の羽賀龍之介に求めたアドバイスをヒントに、ワットバイクを漕ぐ有酸素運動や水中トレーニングで無駄な脂肪を削ぎ落として、理想的なコンパクトボディを作り上げた。
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かつてはウエートトレーニング好きだった塩浦だが、今ではメニュー項目を絞ったり時間を短縮したり「人並みに落としました」。その一方で増やしたのが、水中トレーニング。トレーニング再開の許可が下りた時、「とにかく泳ぎたかったので、早く」と、泳ぎを渇望する心の声に素直に従った。
「今まで2年間は(練習で)ちょっと泳ぐ距離を減らしていましたが、今度は積極的に泳いでいこうかなという気になった。とにかく泳ぐ感覚を戻したいと思ったので、まずはプールの中で身体を戻すことを最優先にしました」
水中で泳ぐ量を増やしたことで、思いがけない効果も表れた。「身体の疲労の抜け方がよくなった。疲労が抜けやすくなったというか、水の中で身体を動かすのが少し上手くなった感じがします」。コンパクトになった身体を水中で効率良く動かす。ここに進化したニュー塩浦が誕生した。
その成果は、今年4月の日本選手権で現れた。50メートル自由形準決勝で、従来の記録を0秒20も更新する21秒67の日本新記録を樹立。決勝では1位でゴールを迎えたが、タイム(21秒73)は派遣標準記録にわずか0秒02届かず。東京五輪での出場を目指す100メートルと合わせ、個人種目での出場は叶わなかった。