「ただでは起き上がらない」 2度の入院生活から復活、進化した塩浦慎理の泳ぎ
病気を乗り越え、さらに進化した塩浦慎理が戻ってきた。4度目となる今回の世界水泳では、中村克、松元克央らと男子400メートルリレーに出場。昨年のパンパシ水泳で叩き出した日本記録の更新、そして開催まであと1年と迫った東京五輪への切符を狙う。
「世界水泳カウントダウン連載」競泳開幕まであと27日―男子400mリレー塩浦慎理
五輪を超える規模で2年に1度行われる水泳の“世界一決定戦”、世界水泳(テレビ朝日系で独占中継)が7月12日に開幕する。なかでも、注目を集めるのは競泳だ。金メダルを獲得すれば、1年後の東京五輪出場が内定する今大会。「THE ANSWER」は競泳開幕の30日前からカウントダウン連載を行い、出場25選手のインタビューに加え、特別企画を織り交ぜながら大会を盛り上げる。開幕まであと27日の第4回は、男子400メートルリレーの塩浦慎理(イトマン東進)が登場。昨年見舞われたアクシデントを乗り越え、得たものとは――。
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病気を乗り越え、さらに進化した塩浦慎理が戻ってきた。4度目となる今回の世界水泳では、中村克、松元克央らと男子400メートルリレーに出場。昨年のパンパシ水泳で叩き出した日本記録の更新、そして開催まであと1年と迫った東京五輪への切符を狙う。
2018年8月。アジア競技大会に出場した塩浦は、100メートル自由形で見事金メダルを獲得した。だが、その直後、アジア短距離王者を待っていたのは、2度の入院生活だった。9月初旬に扁桃周囲膿瘍で入院すると、一度は退院したものの再発。さらに咽頭浮腫も併発し、喉の手術を受けた。再びプールに戻ったのは、アジア競技大会から2か月以上も経った11月だった。
「そんなに長い期間、泳がなかったことが現役をやっている間にはなかったので、新鮮ではありました」
今となっては笑顔で振り返るが、「すごく不安な気持ちで冬を過ごした」と正直な気持ちも明かす。喉の手術だっただけに入院中はお粥しか食べられず、92キロあった体重は86キロまで落ちた。ただ、こんな苦境も「ただでは起き上がらない」のが塩浦流。病院のベッドでは「どうしたら東京オリンピックまでに、海外の選手と互角に戦って勝っていけるか」、未来について思いを巡らせた。
「海外の選手とトレーニングをさせてもらうことが多くて、パワーがあるとか背が高いとか、負けても仕方ないと思うところは多いんです。でも実際、彼らは下手したら日本人以上にトレーニングをしているし、何事もストイックに取り組んでいる。もともと(体格的に)負けた状態でいるんだから、彼ら以上に突き詰めた生活をしたり、競技に対してもっと本気にならないと勝ち目はない。一番最初にそう思いました」