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卵巣にできた腫瘍破裂、競技人生をかけた手術 現役選手たちへ「生理痛、仕方ないと諦めないで」――元陸上オリンピック選手・室伏由佳さん

昨年9月、一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)は「女性アスリートのためのシンポジウム『生理とスポーツ』」を開催。順天堂大健康スポーツ健康科学部/大学院スポーツ健康科学研究科准教授である室伏由佳さんが企画立案から先導した【写真:UNIVAS】
昨年9月、一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)は「女性アスリートのためのシンポジウム『生理とスポーツ』」を開催。順天堂大健康スポーツ健康科学部/大学院スポーツ健康科学研究科准教授である室伏由佳さんが企画立案から先導した【写真:UNIVAS】

選手と指導者、それぞれに必要な「スキル」って?

――ということは、生理前や生理中の不調については、あえて元気なときに考えたほうがいいんですね!

「そうですね。一度、体調のよいときに考えるといいと思います。まず、お腹や頭などの痛み、むくみなど身体症状が出ているのか、気持ち悪さなのか、あるいはイライラや落ち込みなど心の面なのか? 生理前や生理中にどんな症状が起こるのかを整理してみましょう。これらは毎月違うのかも把握しておくとよいです。次に、それらの症状が起きる前に、どうするべきかを考えます。

 もし、痛みなど身体的な不調が起こることを把握しているのなら、痛み止めの薬でいいのか、思い切って病院に行って婦人科医に相談しようか、症状によってはお医者さんに低用量ピルを処方してもらうなどなど、自身がとるべき行動を具体的に考えることが大事です。

 とりあえず、家族や先生、身近な大人に相談してみようか? という考え方ももちろん、アリです。周囲の大人も相談に乗れるぐらいの知識やリテラシーがあるといいですね。私も大学の講義で、女性アスリートのコンディションとして、生理について講義を行う機会がありますが、男女ともに個別に学生とディスカッションする機会もあります」

――確かに部活や学校、家庭でもディスカッションする機会があると良いですね。

「ロールプレイ形式にしてディスカッションすることをおすすめします。例えば、『大事な試合の前に生理になったらどうする?』というお題を出し、みんなでたくさん意見を出しながら、『自分ならどうするか?』を考える時間を作る。他の人の対処法なども聞いて、主観と客観両方の側面について自分で考えるからこそ、気づきが得られますし、行動にも移せるようになります。最後になりますが、生理の話をするときは選手には自分の心身の状態や症状を正確に伝えるスキルが、指導者らは情報を正しく解釈できるスキルが必要です。そのためには生理の正しい知識や対処法などの情報を、互いが理解することは不可欠ですよ」

――今日はありがとうございました!

【Profile】室伏 由佳 / Yuka Murofushi

 順天堂大学スポーツ健康科学部・大学院スポーツ健康科学研究科准教授、スポーツ健康科学博士。女子円盤投げ・ハンマー投げの元日本記録保持者。1977年、静岡県沼津市生まれ。中学生時代から陸上競技を始める。女子ハンマー投げ日本代表として、2004年アテネオリンピック出場。2012年に競技を引退。アンチ・ドーピング教育、スポーツ心理学、痩せた若い女性の健康課題に関する研究課題を研究するとともに、スポーツと医学、健康などをテーマに講演や実技指導など幅広く活動している。また、婦人科疾患を経験し、選手時代から女性アスリートの健康課題に関する啓発活動に携わる。

(THE ANSWER編集部)


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