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「セクハラと思われるかと…」 朝原宣治、男性側の視点で考える女性アスリートの指導と月経

トレーナーなど「間に入る人の存在」も重要

 重要なのは指導者だと言う。指導するにあたり、選手の体調などを知ることは大切だ。月経もそこに含まれる以上、知識を持ち、指導に生かす必要がある。

「学校の中であったり、いろいろな教育が必要で、そういう知識をしっかり持った上で指導者が女性であれ、男性であれ、しっかり質問したり議論できるような基盤というか環境が必要だなと思います。ただ、知識を持った指導者は増えてきてはいると思いますが、教えている女性の選手がいつ生理が来て、調整をどのようにしているのか、知らない人も多いんじゃないでしょうか」

 指導者の誰もが知識を身につけているかといえば、そうではないことが課題の1つとして浮かび上がる。

 さらに別の課題もあるという。

「女性アスリートに男性指導者が月経のことをいきなり話し始めたりすると、けっこうびっくりされたりすると思うんですね。男性指導者のみならず、女性アスリートのほうも誰にでも話すというのは、今は難しいと思いますし、話をするのが普通になる環境にならないと」

 その過程にある今、朝原氏はこのように語る。

「閉じた環境にいると体罰も起こったりしますし、アスリートも遠慮したり、指導者のほうもどこまで深く聞いていいかよく分からなかったり、それこそセクハラと思われるんじゃないか、という話もシンポジウムではありましたが、だからトレーナーさんのように間に入る人の存在も重要になってくると思います」

 そして「男性アスリートも、せめて情報だけでも共有しながら、女性アスリートがこういう状況で競技をしています、というのは知っておく必要がある」と語る。

 それも含め、さまざまな課題をクリアしていくためにも大切になるのは、やはり知識や情報であると指摘する。

「男性アスリートも関心がないというわけではなくても、そもそも『知らない』のです。今回のシンポジウムもそうですが、さらに広がっていって、いろいろな知識や情報がみんなの耳に入っていくようになれば、と思います。そうするとオープンに話し合って解決していく環境も、より進んでいくと思っています」

(松原 孝臣 / Takaomi Matsubara)


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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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