男性監督にも「包み隠さず生理の話をしていた」 39歳まで月経不順だった私が考える月経の問題――陸上・福士加代子
第二の人生に生まれた新たな夢「人との出会いで、変わりました」
競技は終えても、人生は続く。福士さんもまた、様々な大会で市民ランナーと出会うなか、新たな夢が出来た。
「皆さんから『会うと元気になる』とか『またどっかで走ってよ』って声を掛けられるうちに、皆さんが集まれる場所と大会が出来たら面白いかな、と思いまして。誰もが楽しく走れるイベントを開催したくなりました」
その想いを実現すべく「福士加代子RUNプロジェクト」を始動。まずは4月1日、香川県で自分主催の「笑って走れば福来たる駅伝in香川」という大会を開催することになった。
「本当は、引退してすぐは陸上に関わることをやろうとは思っていなかったんですが、人との出会いで、変わりました。
会うと元気になると言われる私ですが、逆に私も皆さんから元気をもらっています。大会で出会うランナーたちは、60歳を超えている方のほうが、走りながらでもよくしゃべるんです。自分はいくつで、今どれだけ走っていて、どんな大会にエントリーをしていて……と私が5を聞くと10は返ってきますから」
人生の先輩たちの姿を見て、改めて「走る」は生涯スポーツになるのだと知った。何歳になっても、ケガをしても、ちょっと休めば走ることはまた、出来る。それが、走ることの魅力なのかもしれない、と考えるようになった。
「私の今の目標は80歳になっても、『ちょっとそこのコンビニに行ってくるね』とその『ちょっとが速い』という足の速いおばあちゃんになること。『え、あのおばあちゃん、もう帰ってきたの!?』みたいな!」
そういえば、「みちのくの爆走娘」というニックネームも持つ福士さん。いくつになっても、爆走は止められないようだ。
【新しい一歩を踏み出す時に大切にしていること】
「まずは、自分自身との会話で考えます。そして、決断します。他人からのアドバイスもあるかと思いますが、その選択をしたのは、自分だと思うこと。結果がどうであれ、他人のせいにするんじゃなくて、自分が決断して選択したことだと言い聞かせます。怖かったり失敗したらどうしようとか、考えたらキリがないですが、考えます。そんな不安も隠さずに言ってみるといいです。やってみて、言ってみて、動いてみるといいです。思い描いていたモノじゃなかったり、上手くいかなくても、しょうがないって自分の腹に堕ちます。納得します」
【今、「変わりたい」と考えている女性へのメッセージ】
「言葉にしてみたらいい。声に出して言ってみるといい。待っていても、変わりません。動かないと口に出して言わないと、伝わらないです。思っていることを素直に言葉にしたらいいです」
※「THE ANSWER」では今回の企画に協力いただいた皆さんに「新しい一歩を踏み出す時に大切にしていること」「今、『変わりたい』と考えている女性へのメッセージ」を聞き、発信しています。
■福士 加代子 / Kayoko Fukushi
1982年3月25日生まれ。青森県出身。五所川原工業高で陸上を始め、卒業後に入社したワコールで頭角を現す。2002年、5000メートルで日本人女子初の14分台をマーク。以後、3000メートル、5000メートル、ハーフマラソンの日本記録を塗り替える活躍で「トラックの女王」と呼ばれた2008年からマラソンに挑戦し、2013年世界選手権モスクワ大会では女子マラソンで銅メダルを獲得。五輪は2004年アテネ大会から4大会連続出場を果たした。2022年1月30日、大阪ハーフマラソンを最後に引退。現在、ワコール女子陸上競技部スパークエンジェルスのアドバイザーを務める。著書に「福士加代子」(いろは出版)。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)