男性監督にも「包み隠さず生理の話をしていた」 39歳まで月経不順だった私が考える月経の問題――陸上・福士加代子
「野口みずきさんを始め、バッチリ生理の来る選手はみんな強かった」
「私は入団当初から監督とも包み隠さず、生理の話をしていました。男性のスタッフには娘さんを持つ父親の方もいたし、『今日は生理だから腹が痛い』となんの躊躇もなく言える、いい関係だったと思います。
一番、指導者に言い出せないのは、中学・高校生だと思いますが、選手が言い出せない空気のまま続けていても、結果パフォーマンスは落ちますよね。すると、指導者も不調の理由がわからず、言葉も厳しくなり、選手はますます言い出せなくなると思います。
生理のことって同じ女性でも、痛みや度合いは異なるし、言葉で伝えないと理解できません。選手たちはとにかく我慢せず、ちゃんと口に出して、監督や指導者とコミュニケーションを取ってほしい。口に出すのが難しいのであれば、練習日誌の報告欄に書いたり、女子マネージャーを通じて伝えてもらったりするといいんじゃないかな」
男性の指導者も、女子選手に生理があることは知っている。むしろ女性側から、いろいろと教えてあげたらいいよね、と福士さん。
「私の印象だと、男性指導者も気を使って聞いてこない。多分、セクシャルハラスメントになることを気にされているのかもしれませんが、わからんかったら、普通に選手に聞いたらいいと思います。選手としては指導者が自分の生理のサイクルを知ってくれていると、ありがたいですから」
悩んでいることは思い切って周囲に伝えることが大事。それが、今、女性アスリートに伝えたいことだという。
「例えば、生理が来なくても 結婚し、妊娠した人もいれば、叶わなかった人もいます。
体の問題は人それぞれ。症状が同じでも、みんながみんな、同じ結果にはなりません。今は医療も発展しているし、解決できないと思っているトラブルにも解決策があるかもしれない。いきなり婦人科系の病院に行くのは敷居が高いかもしれませんが、学生だったらまずは部活の指導者はもちろん、保健室の先生などに悩みを聞いてもらい、相談に乗ってもらうといいんじゃないかな」
長く月経不順が続いたが、「ちゃんと生理を起こそう」という考えがチームに浸透していたこともよかった、と振り返る。
「生理が来ないという選手、生理がなくて疲労骨折をしているという選手の話も聞いてきましたが、一番強かった野口みずきさんを始め、周期も安定して、バッチリ生理の来る選手はみんな強かった印象があります。
月経不順や無月経は疲労骨折の問題とも密接です。また、陸上だけが人生ではありません。競技を終えた後の人生のほうが長いし、一人の女性としての体が大事である。そういう考えが当たり前の環境下で、競技を続けられて本当によかった」