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いまだ燻る女性アスリートのメイク批判 叩かれた選手の本音「当人もバッシングする側も…」――パラ陸上・中西麻耶

金髪のブレーズ姿で出場した21年東京パラリンピック【写真:Getty Images】
金髪のブレーズ姿で出場した21年東京パラリンピック【写真:Getty Images】

いまだ燻るメイク批判「女性に生まれたから味わえる美しさって特権」

 時代とともに、女性アスリートのメイクは受け入れられるようになった。一方、残念ながら試合で負けると、メイクやお洒落を引き合いに出し、あげつらう向きもまだ残る。苦しい時期を乗り越えた中西自身は、現状をどう見ているのか。

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「日本社会では、まだまだ個性を生かす人生を、周囲が、そして当の本人も、受け入れられないのかなと感じます。

 私が思うのは、当人も、そしてバッシングする側の人も、目立つこと、輝くことってそんなに恐怖なのかな、ということです。それから、輝き方を知らない人も多いのかなと思うので、輝くヒントになるエピソードだったり、きっかけとなる場所が、増えていくといいですよね」

「場所」とは、例えば様々なコミュニティが交わる場所やイベント。普段、自分のいる世界から飛び出すと、様々な価値観に出会えるし、意外な化学反応が起きる。一人だと孤独を感じる人にもきっと、仲間が見つかる、と話す。

「私の場合、アメリカの拠点だったサンディエゴが、本当に色んな人種の人々が生活する街だったことが良かった。それから、貧乏生活をしていたおかげで、大会や遠征先でも、いろんな国の選手とお金を出し合ってホテル生活をしていたこと。それらの経験を経て、様々な刺激を受けたし、考え方にも触れられました。

 やっぱり、人は輝いてこそ美しい。それに、女性に生まれたからこそ味わえる美しさって特権だと思います。だから、自分にしかなれない瞬間を目指してほしい」

 2021年の東京パラリンピック。中西は金髪のブレーズ姿で現れた。このヘアスタイルには、「クールでかっこよく」であること以外の想いが込められていた。

「コロナ禍での東京オリパラでは、開催に賛同することをよしとしない世論も強く、会場で選手を応援したいという想いさえも口にできない雰囲気がありました。私は大会に出場するアスリートとして、『応援をしたい』という気持ちを皆さんが胸を張って言える状況を作れなかった、という罪悪感がすごくあったんです。

 ブレーズには、女の子同士や、他の人の手を借りて編むことから、想いを編むという意味もあります。ブレーズで臨むことで、せめて、自分の周りの人たちだけにでも、スポーツの語源である『楽しむ』という気持ちを届けられたらいいなと思い、美容師さんと相談して決めました。

 私はいつも美容師さんに『私の髪を作ってくれるということは、一緒に東京パラに行く、ということ。中西麻耶をベストな状態に持っていく髪型であったり、カラーであったりを、4年かけて考えてね』と伝えていました。

 スポーツってそうやって、一見、自分には関係ないなって思ってる人も関わり、成り立っていると思うんです」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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