海外には「障がいのある子の存在を隠す国も…」 パラ競技の女性活躍、簡単ではない世界の実情
パラ水泳の選手男女比は「全国で7:3ぐらい」
井本「国際大会を目指すとなると、さらに大きなハードルをいくつも越えなければならないですしね。パラリンピアンに限らず、日本全体の障がい者スポーツの競技者数の男女比の現状はいかがでしょう?」
河合「全競技の実数までは私も把握していませんが、例えばパラ水泳の場合ですと、全国の選手の男女率は7:3ぐらいです」
井本「えっ、そんなに女性が少ないんですか。すると冬季五輪の競技はかなり少ないでしょうね。競技の環境や使う道具などから想像すると夏季五輪以上に費用もかかりそうですし……」
河合「その通りです。例えばスキー場ではトイレの問題なども出てきます。参加するだけでも、すごくハードルが高いと感じますよ」
井本「そういった環境で、日本パラリンピック委員会(JPC)では女性アスリートに対し、どんなサポートをされているんですか」
河合「JPCは2017年に女性スポーツ委員会を設立して以来、女子選手の競技力向上や、選手・指導者・役員などの環境整備、子育て支援、女性アスリートに関する調査研究を行っています」
井本「成果はいかがですか」
河合「競技団体に女性スポーツの担当者を設置してもらうことができ、担当者の情報共有の機会を創出することができました。また、女性アスリート向けの研修会を障がい別ごとに行うこともできました。さらにジャパンパラ大会等では託児サービスを提供するなどして、アスリートや競技役員等への支援も行っています」
井本「選手だけでなく、現場スタッフについても少し伺います。JPCの実態調査の結果をみると、責任的立場にある女性の強化スタッフの割合は10%未満(強化責任者5.4%、監督5.6%、ヘッドコーチ8.7%)です。オリンピック競技大会公認コーチの女性の割合は、世界平均で約13%。日本は東京2020でかなり増えて18%ですから、これは、極端に低いと思いました」
河合「コーチ職に占める女性の割合は約3割(28.5%)と上昇はしているので、現場には女性のコーチやトレーナーが一定数います。問題は、責任あるポジションにはまだまだ少ない点です。それと、パラ競技者がコーチになるパスウェイがないことも、理由の一つにあると思います」