「あそこなら野球をできる」代表エースが目指した“韓国の東大” 女子だからできた文武両道…変えたい母国の弱点
前例のない女子だからできた文武両道「道を広げる人になりたい」
気が付けば、高校の成績は学年トップまで上がった。新型コロナ禍が広がり始めた2020年、評定を元に行われる自己推薦でソウル大に入学し、体育教育を専攻した。野球でも、女子選手が大学野球部でプレーできるようルールが変わり無事入部。直球は最速119キロながら、チェンジアップを覚えて強豪大学の男子相手に好投したこともある。
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キム・ラギョンは女子だったからこそ、韓国スポーツ界特有のエリート至上主義から自由になれた。男子ならスポーツか勉学かの選択を早期に迫られ、文武両道が実質的に不可能なシステムは大きな問題だと考えている。それは高校からプロ野球のハンファ入りした、7歳上の兄を見ても感じるという。
「エリートという単語が私は嫌いなんです。スポーツか勉強か、どちらかを選ばないと成功できないという考え方はもったいない。兄は幸運にもプロ入りできましたけど、大きなけがを3回もしてしまって、その後悩んでいるのを目の当たりにしました。野球も勉強もできる道があれば、野球ができなくなっても残るものがある。でも現状では、野球がなくなった時にどうすればいいのかと迷ってしまうんです」
今はライオンズレディースの日本一に貢献することと、秋のアジアカップで韓国代表を引っ張ることに集中しているキム・ラギョンだが、引退後の夢はスケールが大きい。
「道を広げる人になりたいんです。スポーツに関する政策に携わるとか。まだ漠然と考えているだけなんですが……」
その視野の広さは、スポーツにも勉強にも真剣に取り組んだから得られたものだ。日本で背負うのは、兄がプロ野球でつけた背番号29。女子野球の発展に尽くした先に、韓国の社会までも変えたいと願う。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
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