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企業の男性「家、来ない?」透けた性的な下心 「私の競技を汚される」アスリートとして貫いた矜持――フィンスイミング・松田志保「女性アスリートとスポンサー」

フィンスイミングを「まず知ってもらえたら」と松田は願う【写真:本人提供】
フィンスイミングを「まず知ってもらえたら」と松田は願う【写真:本人提供】

女性としてアスリートとしての矜持「私の好きな競技が汚れる感じがする」

 松田には女性として、何よりアスリートとして矜持がある。

「確かに、お金はない。でも、馬鹿にされて、下心も見えて……。そこまでしてお金は欲しくないし、そんな人に支援してほしくない。私の好きな競技が汚れる感じがする。やりたくてやっているのに、こんなにお金はかかるのに、こんな競技環境なのに、嫌なものにはしたくないので。それなら頑張って働きますよ!」

 もちろん、スポンサーとは好ましい関係が大半だ。

 松田の理念に共感し、支援をしてくれる。支援だけじゃなく、国内で最も大きい日本選手権に担当者が足を運んで、応援に駆けつけてくれた時は心からうれしかった。一方で、それだけ情熱を注いでいる競技だから、第一人者としての厳しさも持っている。

 競泳も継続している松田。東京五輪では大橋悠依が個人2冠を達成したように、オリンピックの舞台で金メダルを獲得する選手たちとのレベルの差を感じ、「フィンスイミングが評価されないのも仕方がない部分もちょっとあります」と言う。

「競泳みたいに競技力が高くない。私もたまたまマイナー競技だったから頑張ったら日本代表になれて、日本記録を出せて、世界選手権に行けて。世界選手権で決勝に残っていますが、もっと競泳でポテンシャルのある人がフィンスイミングをやったら、一瞬で置いてかれちゃうんだろうなと、私でも思います。

 確かに、お金も含めて競技環境は良くないけど、成績を出さない限りは五輪競技と並べない。最近の世界選手権で決勝に残ったのが私と男子1人の2人で、アジア選手権でもメダルを取ったのは女子2人、男子1人。世界選手権で優勝でもしない限り、五輪競技の人たちと並べないんじゃないかと思っています」

 今年2月にカタールで行われた世界水泳では本多灯、瀬戸大也らがメダルを獲得して奮闘。「私たちは世界選手権に行ってメダルが獲れていないので、それで支援してくださいと言ったところで、まだまだだから」と自分に言い聞かせるように言った。

 今回、インタビューに応じてくれた松田はいかにフィンスイミングが恵まれないかを嘆いて、同情を誘いたいわけではない。

 支援がないのはマイナー競技であることを言い訳にせず、まずは競技にスポットライトが当たるように結果を出すこと。その前段階として、フィンスイミングのことを「まず、知ってもらえたら」というのが、一番の願いだ。松田自身もSNSやYouTubeも積極的に投稿している。

「困っていることも知られていない。日本代表というだけで支援してもらえると思っている人が多い。世界選手権でメダルを獲れるようになったら、ちょっとは普及になるし、そうなったら支援したいと思っていただける人も増えて、競技人口も増えるし。そんな形が本当に理想ではあります。

 でも、ベースは私は競技をやりたいから、楽しいからやっている。機会があれば、見に来てほしいです。こんなに速いし、迫力のあるものだから。競技としては、やっぱり埋もれてしまうので。競泳でさえ、最近は日本選手権の観客も少なくなっている。もっと知ってほしいなとは思います」

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