世界一細いと評された53cmの究極ウエスト 日本人不利に抗い、世界と戦うビキニの女王の哲学――ビキニフィットネス・安井友梨
安井が考える「美しさ」の定義は「“自分らしくあること”です」
今回は国際女性デーに合わせたインタビュー。時代とともに、女性の在り方は変わる。美しさを競い合うビキニフィットネスで世界の頂にいる今、女性の「美しさ」をどう定義するのか。
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「私が思うのは“自分らしくあること”です。他の誰かと比べるのではなく、無理することなく自分の歩幅で、自分が一番良いと思うものを追求していくのが一番、自分らしいと感じます」
言うなれば「男性ウケ」でも「女性ウケ」でもなく「自分ウケ」。
「私も20代までは○○ちゃんと比べてどうとか、いつも思ってばかり。でも、今はとにかく去年の自分より、昨日の自分より良くなりたい。そんな自分らしさを前面に表現できれば、きっと一番美しい。誰に笑われてもいい。プライドは捨てて、私らしくいようと。私らしくいると決めた瞬間に美しさは始まると思っています」
今年1月、大きな転機があった。14年間勤めてきた銀行を退職。日本事業の撤退と閉鎖という外資系特有の事情によるもの。しかし、本人は至って前向きだ。
「失わなければ、手にできないものがあると思うんです。最初に入った証券会社を辞めた途端、銀行員になったり。今度は銀行員を辞めたら、今は本当にたくさん声をかけていただけたり。だから、私は新たな可能性の扉を開けるのはいつもワクワクするんです。もし、まだ自分の可能性が見つからない人がいるなら、方法はただ一つ、次の扉を開けるだけ。1000回開けてダメなら1001回開けるぞって、私は思います。
私も20代までは失敗しないことばかり考えていました。どうすれば失敗しないかというと、バッターボックスに立たないこと。でも30歳を過ぎてからは、とにかくバッターボックスに立って何回空振りできるかと思って生きてきました。成功する一番の近道は、まずやってみること。銀行員を辞めて今後がどう開けていくかわからないですが、これもきっと何かの縁。どんな人生が待っているか、本当に楽しみです」
競技人生の集大成として世界一をかけ、挑んだ昨年10月の世界選手権は2年連続準優勝。もう一年、競技を続けることを決めた。今年1月で39歳になった。人生を変えた30代が終わり、不惑が近づく。しかし、安井は「『Age is just a number(年齢はただの数字)』と思っています」とほほ笑む。
「30歳で日本一になって、35歳でアジアチャンピオンになって、37歳で世界選手権で準優勝し、38歳でもう一度、準優勝。30歳の自分より39歳の自分ができることがどんどん増えて、自分と未来はもっと変えられると思っています。39歳から40歳になろうとする自分にも今は楽しみしかありません」
彼女が大切にしている言葉がある。「人生最高の瞬間は、未来にしかない」。昨日よりも今日。今日よりも明日――。安井友梨は、いつも前だけを見ている。
【ビキニフィットネス・安井友梨から「今、『変わりたい』と考えている女性へのメッセージ」】
「『どうせ私なんか』と決めつけず、何度失敗しても今度こそはと挑戦を繰り返すこと。私は諦めの悪さが人間の可能性の扉を開いていくと思っています。バスケットボールのマイケル・ジョーダンが好きなんですが、彼は『私が成功した理由は試合でシュートを9000回ミスしたからだ』と言ったそう。私は9000回も何かミスしたことはない。ジョーダンが9000回も失敗しているなら、私も9000回失敗するまでやればいい。
失敗という年輪を重ねた大木は決して折れることはない。転びながら前に進めばいい。失敗を恐れて一歩、前に出られないのがかつての私でした。転びながらでも、前転してでも、前に一歩でも出れば絶対に何か掴める。転んでそこで終わってしまえば、失敗になってしまう。私も世界選手権で(世界一挑戦に)7回失敗しても、8回挑戦したいと思っています。“できるか・できないか”ではなく、“やるか・やらないか”です」
※「THE ANSWER」では今回の企画に協力いただいた皆さんに「新しい一歩を踏み出す時に大切にしていること」「今、『変わりたい』と考えている女性へのメッセージ」を聞き、発信しています。
(THE ANSWER的 国際女性ウィーク2日目は「女性アスリートと出産・育児」、レスリング・金城梨紗子が登場)
■安井 友梨 / Yuri Yasui
1984年1月13日生まれ。愛知・名古屋市出身。幼少期のスポーツ歴はソフトボールとバレーボール。大学時代は和菓子好きが高じて茶道部。30歳にビキニフィットネスと出会い、競技歴10か月で出場した2015年からJBBFオールジャパンフィットネスビキニ選手権7連覇中。外資系金融のOLをしながら、2019年アジアビキニフィットネス選手権優勝、2021年から世界フィットネス選手権2年連続準優勝。同年元日のTBS系「マツコの知らない世界」に年1200個食べる「おはぎ好き」として出演し、話題に。以降、数々のバラエティー番組やフィットネス番組に出演。2022年11月にはTBS系「情熱大陸」で特集された。今年1月に勤務していた外資系金融が日本事業撤退に伴い退職。新たなキャリアを模索している。
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<3月5日「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」オンラインイベント開催>
オンラインイベント「女性アスリートのカラダの学校」を3月5日に開催する。アスリートや専門家が女性アスリートのコンディショニングについて議論を交わしながら、参加者の質問にも答える。第1部は「月経とコンディショニング」をテーマにスポーツクライミング東京五輪銅メダリスト・野口啓代さんをゲストに迎え、月経周期を考慮したコンディショニングを研究する日体大・須永美歌子教授が講師を担当。第2部は「食事と体重管理」をテーマに体操でリオデジャネイロ、東京五輪2大会連続団体入賞の杉原愛子さんをゲストに迎え、公認スポーツ栄養士の橋本玲子氏が講師を担当。1、2部ともに月経など女性アスリートの課題を発信している元競泳日本代表・伊藤華英さんがMCを務める。参加無料。応募は「THE ANSWER」公式サイトから。詳細(https://the-ans.jp/news/304085/)
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)