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世界一細いと評された53cmの究極ウエスト 日本人不利に抗い、世界と戦うビキニの女王の哲学――ビキニフィットネス・安井友梨

準優勝した世界選手権、安井さんのウエストは「世界一細い」と評された【写真:本人提供】
準優勝した世界選手権、安井さんのウエストは「世界一細い」と評された【写真:本人提供】

トレーニングは「ボディメイクではなく、ライフメイクができるもの」

 こんな風に日常を記すと、安井は完璧の人間のように映る。しかし、本人は自分の弱さを認めている。認めているから、弱い自分をどう扱うかも知っている。

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 安井のセルフコントロール術は、現代社会の女性にとっても参考になるものだ。

「大人になると、誰からも褒められませんよね。だから、とにかく自分で自分を褒めてあげる。自分自身が私の一番の応援団です。本来は運動嫌いなので、いまだにジムに行く前は毎日嫌なんです。でも『ジムに行けば100点満点』『会員証をピッとやればOK』と決めてあげる。行ってしまえば、自然とやる気が出てくるので。

 女性特有の波もあるし、体調が良くない日はストレッチを30分するだけでいい。ゴールテープを小さくして、その小さいゴールテープを切り続けること。小さい成功体験を重ねること。やらないという選択肢を一度作ると、自分の中で習慣化されてしまうから。自分で自分の機嫌を取ってあげるとモチベーションも保てます」

 “やれば、変わる・伸びる”が実感できるボディメイクは、仕事への向き合い方も変えた。「トレーニングも最後の本当にきつい1回をやるかやらないかで、成長するかしないかもすごく変わるもの」。先延ばしにして諦めがちだった、対応が難しい顧客や案件に挑戦し、営業成績やスキルが上昇。仕事も充実感が増した。

 自分の限界を自分で壊し、自分の可能性を自分で信じる。それは、安井がトレーニングから得た最大の学びだ。

「今日よりも明日ダメに、今年より来年もっとダメになる。あれもできていたのに疲れやすくなる、そんなことばかり。30代になると会社での立ち位置が分かって『支店長は無理っぽいな』『年収はこれくらいだな』と人生が見えてきてしまいますよね。私もそう思って、限界を自分で決めてしまっていました。

 今は何歳になっても『明日が自分の中で一番良い日なんだ』と思える。それはビキニフィットネスと出会ってから。毎日1秒も無駄にしないで脇目も振らず、世界一に向けて頑張っていける。仕事と両立し続けたのもOLの星じゃないですが、あえて厳しい道を進んだ方が周りの方に希望になると思ってのことでした」

 その経験があるから、安井はトレーニングの価値を「ボディメイクではなく、ライフメイクができるもの」と表現する。

 そして、ビキニフィットネスを「一般の方にもぜひ始めていただきたい。女性の『美しくなりたい』を叶えてくれるスポーツですから」と勧める。

「頭のてっぺん足の先まですべてが競技の審査項目です。コスチュームを選ぶセンス、アクセサリー、ヘアメイク、髪の艶や筋肉はもちろん姿勢、ウォーキング、ステージング、ネイル……。努力すれば、大会のたびに自分史上最高の美に挑戦できる。女性らしい美を求められるがゆえに365日気をつける生活になります。ぜひ挑戦してみてほしいです」

 安井流の美しいカラダ作りは女性にとって気になるところ。こだわりのひとつは「とにかく栄養をたくさん摂ること」だ。

「私は競技を始めて1日6食の分食にしました。それまで1日1食の生活で、すごく太りやすくて。一度にたくさん食べて吸収できる量は限られているので、体脂肪になってしまう。ちょこちょこと3時間おきに栄養を吸収してあげると体にも優しいし、栄養吸収も効率的で、筋肉を育てることできて、太りにくくなると思います」

 カロリーや糖質の“数字”だけを見て、ダイエットに走ってしまいがち。安井は「糖質は絶対に摂った方がいいです」と言う。

「私が控えるのは脂分。揚げ物、オイルなどです。玄米や雑魚米、白米も食べるし、糖質はがんがん摂ります。逆に糖質を摂らないと、運動しても痩せにくい。食べて動いて、健康的にダイエットするためには、糖質も摂りながら運動するというサイクルに入るとアメ車みたいな体になれる。座っていても脂肪が燃え始めます」

 こうした実体験に基づいたアドバイスは好評で、安井が発信するボディメイクの著書やイベントは人気を博している。

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