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体重70kgのぽっちゃりOLが10か月で日本一 コンプレックスの塊だった人生に30歳で訪れた転機――ビキニフィットネス・安井友梨

安井さんにとって「明日、行ってもいいですか?」の電話が人生を変えた【写真:松橋晶子】
安井さんにとって「明日、行ってもいいですか?」の電話が人生を変えた【写真:松橋晶子】

ビキニフィットネスとの出会い、人生を変えた一本の電話

 きっかけは「私が生まれてから一度も痩せている姿を見たことがなかった」という母の変化。

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 母がジムに入会し、半年で20キロもダイエットした。刺激を受け、「ペア会員になると安いから」と同じジムに入会。10キロの減量を目指した。ただ、根っからの運動嫌いの娘は1キロも痩せられず。「運動が嫌なので、お風呂に入って家に帰るレベル。たまに歩くくらいで……」

 半年経っても体型に変化なし。ジムに相談すると「痩せたいと言うだけでは痩せません。目標になる人の写真を見つけてください」。調べていくうちに見つけたのが、ビキニフィットネスの第1回国内大会で優勝した新井敬子さん。40歳の主婦だった。

 その美しさに心奪われた。「すごく健康的な美しい体で、『私、これになりたい』と。主婦の方が40歳でこうなれるなら、私も30歳ならできるかもって」。直感でビキニフィットネスの世界に飛び込もうと思った。新井さんが通うジムが奇遇にも地元・名古屋にあった。

 すぐ、そのジムに電話をかけた。

「明日、行ってもいいですか?」

 この一本の電話が、安井の30代を、人生を変えた。

 しかし、文字通りビキニを着て、肉体美を競う大会だ。20代はプライベートでも水着を着たことがない。アトピーがあり、高校のプールの授業はいつもタオルで肌を隠し、友人と行く温泉すら抵抗感があった。そんな安井が踏み切れたのは、なぜか。

「清水の舞台から飛び降りるじゃないですが、出ると決めたら痩せるんじゃないか。痩せるための目標作りのような、どんな競技かも知らずに飛び込みました」

 恵まれたのはトレーナー・柏木三樹さんの存在。何事も長続きしなかった安井の性格を考慮し、2時間のレッスンのうち、1時間以上はストレッチ。週2回のジム、最初の半年間は柏木さんと雑談しながら、体を動かすことを楽しんだ。

「栄養を考えたこともない、トレーニングをしたこともない、こんなボコボコの土台には立派な建物が建たないと言われ、まずは筋肉をつけて増量することから始めました。肉と野菜、玄米を中心に、規則正しい食事でしっかりと栄養を摂る。トレーニングも『なんだか楽しいな』『体がすっきりするな』くらいの感覚でした」

 すると、ささやかな変化が生まれた。「歯磨きと同じように、自分の生活習慣にジム通いが自然と組み込まれて行ったんです」

 挙がらなかったバーベルがある日、挙がるようになる。ジムに行く方が疲れが取れるようになる。髪をいたわり、ネイルにこだわり始めた。3か月後には、あれほど嫌だったアトピーが消え、OL生活で悩まされ続けた肩こりが解消された。

 小さな成功体験を積み重ね、自分が変わる実感が楽しかった。そして、ささやかな変化は大きな結果となって返ってきた。

 本格的に競技を始めて、わずか10か月後、いきなり日本一になったのだ。

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