「金メダリストでチヤホヤされるのは今だけ」 ボクシング入江聖奈が大学院を目指す理由
「自分を信じてあげることが、ボクシングでできた」
まだ大学3年生の21歳。競技を終えても長い人生が待っている。部活のチームメートはリングから面接に戦いの舞台を移し、就活の真っただ中。「ガクチカ(学生時代、力を入れたこと)」を探し、人生設計を立てている。
では、入江自身はどんな女性であり、人間になりたいか。この日の国際女性デーに合わせたイベントに合わせて聞くと「やっぱり、カエルを守れる人間でありたい」と屈託なく言い、マジメな顔になった。
「そのためには、ちゃんと努力が続けられる人間じゃないと駄目だし、周りの環境に左右されない心を持っていないと駄目。カエルを守るために、いろんなことが大切になると思うので」
その努力の尊さを教えてくれたのがボクシング。
「私は別にボクシングの才能とかないと思うけど、練習はちゃんと頑張ってきた。それで金メダルを掴めたと思う。努力し続ければ、カエルの研究でも、きっと良い成果が出せる。そう自分を信じてあげることが、ボクシングでできた。簡単には折れない心が身に付いた。ボクシングさまさまですね」
インタビュー後、年齢がひと回り以上も上の筆者が「入江さんの話を聞いて、私ももっと謙虚に生きようと思いました」と伝えると「いや、そんな。みんな、人それぞれですから」と笑った入江。
「本当は、まだ大学1年生の気分です。もう年齢的には大人なんですけど、社会人になる心の準備が追いついてない。どうしよう……」とこぼした弱音とは裏腹に、その内面は随分と大人びた女性に映った。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)