なぜ米国の女子アスリートは発言し続けるのか 根底にある「マイノリティ改善」の想い
米女子ゴルフ界で発言するルイス、男女賃金格差を埋めるため大会新設を呼びかけ
全米女子プロゴルフ協会は、1950年に創設されたアメリカ最古の女子プロスポーツ組織である。
「女性は結婚して家庭に入るものだ」
「女子がゴルフなんてするもんじゃない」
設立時のメンバーはどんなに批判されても、女子ゴルファーの未来を信じて前進し続けた。創設から70年目となる今年、年間賞金総額は7055万ドル(約76億3000万円)に達する。当時と通貨価値が異なるため単純比較はできないが、創設年の年間賞金総額5万ドル(約540万円)から大きく成長を遂げた。
それでも、男女の賞金の格差は非常に大きい。
米女子ゴルフツアーは世界を転戦するため、1選手あたり約1500?2000万円の年間経費がかかると言われている。昨年に年間2000万円以上の賞金を稼いだのは、約半数の80選手ほど。世界ランク下位の選手らが経費削減のために、レンタカーやホテルをシェアすることは珍しいことではない。その一方で、昨年の米男子ゴルフツアーでは、100万ドル(約1億1000万円)以上の賞金を114選手が稼いでいる。
そこで、プロデビュー前から「男女格差を少しでも改善したい」と思っていたルイスは行動する。2014年に世界1位になる過程では、共感してくれた自身のスポンサーに大会の新設を呼びかけた。その結果、15年には5大会に関わり、その年の賞金総額の1/6にあたる約12億円を生み出した。
スター選手になると、メディア対応やスポンサー主催のイベント出席など、ゴルフ以外にもやるべきことが増える。つまり、関わる大会が増えれば、ますます選手自身の時間が削られるというわけだ。
だが、ルイスは「選手として当然のことをしているだけ」と涼しい顔だ。4年前にはこんな話もしていた。「米女子ゴルフの創設時は苦難の時期だったと聞いています。創設時の13選手は、コースの予約から大会の運営まで全て自分たちで行ったそうなんですよ。今も基本は選手主導でツアーを運営すべきだと思っているので、他の選手には私が何をしているか見てほしいし、何ができるか考えてほしいですね」。
ルイスには「自分さえ活躍すればいい」という思いは毛頭ない。