なぜ米国の女子アスリートは発言し続けるのか 根底にある「マイノリティ改善」の想い
米女子サッカー代表チームの主将ミーガン・ラピノーは、間違いなく試合内外で今年のワールドカップの主役だった。「米国サッカー連盟は、男女間の賃金格差をなくすべき」、「同性愛者なしのチームで優勝はできない。今までだってそうだった。これぞ科学!」など、大会のMVPは歯に衣着せぬ発言を繰り返した。
米女子サッカー代表ラピノーは歯に衣着せぬ発言で物議を醸す
米女子サッカー代表チームの主将ミーガン・ラピノーは、間違いなく試合内外で今年のワールドカップの主役だった。「米国サッカー連盟は、男女間の賃金格差をなくすべき」、「同性愛者なしのチームで優勝はできない。今までだってそうだった。これぞ科学!」など、大会のMVPは歯に衣着せぬ発言を繰り返した。特に試合前の国歌斉唱を拒んで膝をついたり、「優勝して(マイノリティに否定的なドナルド・トランプ大統領の招待を受けても)ホワイトハウスに表敬訪問しない」と表明したりしたことは物議を醸した。
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物言う女子アスリートはラピノーだけではない。昨年は全米オープンテニスの女子シングルス決勝で、セリーナ・ウィリアムズ(米国)が判定を巡って「性差別的」と主審に猛抗議した。
たとえ世間から猛反発を受けても彼女たちは毅然と主張する。しかも、主張する内容はスポーツだけにとどまらない。
なぜ、彼女らは発言し続けるのだろうか?
その根底にあるのは「マイノリティの現状を改善したい」という思いである。筆者はこれまで米女子ゴルフツアーを10年取材してきた。そこで、米女子ゴルフから見えてくる「女子アスリートの現状」について話をしたいと思う。
女子ゴルフ界にも発言し続ける選手がいる。ステイシー・ルイスだ。米国オハイオ州出身の34歳。元世界ランク1位で、14年には「最優秀選手賞」「ベア・トロフィー(平均ストローク)」「年間賞金女王」に輝き、アメリカ人選手として21年ぶりに3冠を成し遂げた名実ともにトッププレーヤーである。
ラピノーが主張する「男女(アスリート間の)同一賃金」にルイスは賛同する。
「正直なところ、男女の賞金総額の差を埋めるのは難しいと思っています。でも、女子ゴルファーが手にする賞金は男子ゴルファーの1/10以下なんです。この現状をなんとかしたい。せめてあと40%ぐらい上がってほしいです」