減量目的で飲み続け、練習中に倒れた大学生 女性アスリートが下剤を乱用する危険
生理のサイクルの影響でも起こる便秘
もう一つ、Aさんの話で気になるのは、高校時代から体重に波があった、という点です。便秘の原因は腸内環境や生活のリズムの崩れ、精神的なものなどさまざまありますが、女性の場合、生理のサイクルの影響による便秘もあります。
生理前の女性は体のシステム上、体内の水分量が上がるうえ、便秘になりやすい傾向があり、これが、月経前に体重が増える原因の一つです。便が出ないのでお腹は張り、体はむくみ、体重は増える。本当に一時的なものですが、「どうしよう太ってしまった」と不安になり、下剤を飲んだり食事を抜いたりという行動に出てしまいます。
生理のサイクルによる便秘やむくみの一番の対策は、しっかりと自分の生理周期を把握し、不安をなくすことです。「生理前は便秘になりやすいな」と知っていれば、便秘気味になっても、「生理がくればスッキリするから下剤を飲まなくても大丈夫」と落ち着いて対応できます。
もちろん、長く続くような深刻な便秘は健康を害する恐れがありますが、体重を落とすために下剤を使う、というのは大きな間違いです。また、下剤を常習する選手は、無月経やケガが多いなど、様々な問題を抱える傾向がみられるため、安易に使用しないでください。
Aさんはその後、コーチに付き添われ、病院を受診。しばらく休部し、専門家の指導の下、下剤乱用の中断に取り組むことになったそうです。
どんなに厳しい指導者でも、下剤を飲んででも体重を落とせ、競技を続けろ、と考える方はいないはずです。また、競技には関係なくても「痩せたい」「可愛くなりたい」などという気持ちから、安易に下剤に手を出すのも、本当に危険です。
体重のコントロールに悩んでいたら、まずは生理のサイクルと体の変化の関係や、食生活の見直してみましょう。そして、一人で抱えず、指導者にも相談してください。もし、監督やコーチには話にくいと感じているならば、保健室の先生や家族など、あなたが信頼し、安心して話せる人に必ず、打ち明けてくださいね。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)