伊調馨が語った女子選手の体重管理 核心を突いた「自分の体に興味を持つ」のアドバイス
核心を突いたアドバイス「自分の体に興味を持つ」
次にメンタル面についてです。
本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】
伊調さんはロンドン五輪の試合4日前、練習中に靭帯を損傷。テーピングと痛み止めを使って試合に臨み、金メダルを勝ち取っています。ケガにも動じず、大きな大会で結果を出すメンタルの強さの源とは何か? その質問への答えは「それまでの練習の成果を出すことを念頭において試合に臨むこと」。
「私も練習ではうまくいかないことのほうが多く、週の半分以上は、落ち込んで家に帰っていました。それでも、『自分はダメだ』とか『勝てないかもしれない』と考え、不安になったり、落ち込んだりする必要ってないかなと思います」と伊調さん。
なぜなら、「工夫次第で、明日はよくなるかもしれないから」。例えば落ち込んだ翌日は、自分よりもうまくない人と練習で組み、自信をつけることもある。すると、それがうまくいかなかったことの突破口になったり、新しい発見につながったりするそうです。
「反省して、修正して、明日はこうしよう、と考えて臨む。それの繰り返しです。普段の練習でいかに全力を注げるか、準備ができるか。やっぱり、毎日の練習の積み重ねが一番大事なんです」。
対談中、伊調さんはたびたび、「悩んでも落ち込んでも仕方がない。逆に明日はよくなるから」と口にしました。大会に月経やケガによる変調が重なっても、常に前向きに捉え、「次どうするか?」を考える。そんな心の整え方が印象に残っています。
繰り返しになりますが、伊調選手の素晴らしさは、自分の体を非常によく知っているところ、そしてケガをしても後悔したり、自分を責めたりせず、「これまでの練習をきちんとやってきたら大丈夫」とポジティブに捉えることができる、『客観性』と『ポジティブシンキング』です。この姿勢は、多くのアスリートたちにとっても、とても参考になるのではないでしょうか。
「私も自分に対して無頓着だった時期があった。でも、自分の体に興味を持つと、パフォーマンスを上げるために、どんなトレーニングがいいのか、どんなものを食べたらいいのかを考える意欲にもつながる。今の選手にはそういうことを伝えたい」と、伊調さん。
「自分の体に興味を持つ」。核心を突いた、本当によいアドバイスだと感じました。
【須永美歌子先生「THE ANSWER」オンラインベントに登場】
須永先生は3月14日に行われるオンラインイベント「女性アスリートのカラダの学校~タブーなしで考えるコンディショニングのニューノーマル~」に講師として登場する。
「THE ANSWER」が、国連に定められた「国際女性デー」から1週間、女性アスリートのいまとこれからを考える「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を展開。アスリート7人のインタビュー連載を掲載するほか、最終日となる14日に同イベントを実施。「女性アスリートのコンディショニング」をテーマに、元競泳五輪代表の伊藤華英さんをMCに迎える。第1部はレスリングのリオデャネイロ五輪女子48キロ級金メダリスト・登坂絵莉さん、第2部に元フィギュアスケート五輪代表・鈴木明子さんがゲストに登場。須永先生は月経、摂食障害など女性アスリートにとっての課題について解説する。
1、2部ともに60分。参加費は無料。男女問わず、誰でも参加できる。現役のアスリート、中・高・大の部活生、スポーツ指導者、部活顧問、保護者などに、特にオススメ。申し込みは「THE ANSWER」公式サイトから。詳細(https://the-ans.jp/event/147825/)。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)