“容姿先行”報道との闘い 「空手界のきゃりー」と言われた植草歩が視線を覆した方法
競技に注目させるには「結果を出さなければだめ」、若い選手へ助言「自分の言葉で」
今振り返ると、メディアに取り上げてもらってよかったと思う瞬間だった。身の丈に合わない期待も、違和感も結果で跳ね返した女王。では、容姿ではなく競技に注目してもらうには、結果を出すしかないのだろうか。
「自分はそう思っています。だってかわいい人だったら、モデルさんや女優さんとかいっぱいいるわけじゃないですか。『スポーツをしているわりにはかわいい』で取り上げてもらっていただけなので、強くなければ意味がないと自分は思っています。やっぱり競技をしている中で注目してもらって、記事にしてもらっている以上は結果を出さなければだめ。報道で自分の容姿を取り上げられても、そこに一喜一憂もしない。
本当に変えられるのは自分だけ。他人の意見も考えも変えることなんて絶対にできないので、自分が変わればいい。自分にフォーカスを当てればいいかなって思います。そうすれば、頑張っている姿が輝いて見えるから注目してもらえる。本当にそこに注目してもらえるんじゃないかなって思います」
マイナー競技やアマチュア選手は、冒頭に記したような目を引く切り口がないと注目されないのも事実。ただし、周囲の抱くイメージと実力のギャップに悩む若い選手もいる。必ずしも全員が期待を力に変えられるわけではない。そんな若い子へ、植草はアドバイスを送った。
「(取材は)チャンスだと思います。『インタビュー苦手なんですよ』ではなくて、自分なりの言葉で自分のことを伝えたらいい。でも、自分の言葉は凄く責任のあるものになるから、そこだけは自覚してほしいですね。それがプレッシャーになるかもしれないけど、それを言ったことでまた自分がより強くなれると思えばいい。自分はメディアをマイナスだと思ってはいけないなと本当に思っています。メディアのおかげで強くなれたと思っているので」
相手と戦い、言葉を発しているのは植草歩。いつしか「空手界の――」という枕言葉は、ほとんど聞かなくなった。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)