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“容姿先行”報道との闘い 「空手界のきゃりー」と言われた植草歩が視線を覆した方法

メディアに報じられたアスリートは、本当に等身大の姿なのだろうか。これから世に出るような若いアスリートには、「○○2世」「〇〇界の××」など目を引く切り口で取り上げられることが多い。とりわけ女子アスリートの記事では、女優やアイドルなど芸能人になぞらえ「〇〇似の美女」なんてフレーズが使われる。気になって写真を見比べたことのある人も多いだろう。

東京五輪の新種目である空手で金メダル候補の植草歩【写真:浜田洋平】
東京五輪の新種目である空手で金メダル候補の植草歩【写真:浜田洋平】

女子選手がビジュアルではなく競技で注目を集めるには、空手・植草歩に聞く

 メディアに報じられたアスリートは、本当に等身大の姿なのだろうか。これから世に出るような若いアスリートには、「○○2世」「〇〇界の××」など目を引く切り口で取り上げられることが多い。とりわけ女子アスリートの記事では、女優やアイドルなど芸能人になぞらえ「〇〇似の美女」なんてフレーズが使われる。気になって写真を見比べたことのある人も多いだろう。

 東京五輪の新種目として実施される空手で金メダル候補の植草歩(JAL)。まだ空手が五輪実施種目に決まる前、有力候補の一つだった2013年。大学3年生の時だった。日本発祥の競技で若手の実力者。メダル獲得が期待される広告塔となり、愛くるしい容姿からメディアに付けられた異名がある。「空手界のきゃりーぱみゅぱみゅ」――。

 今でこそ競技を背負う空手界の顔となった彼女も、最初は“容姿先行”だった。

「21歳の頃でしたかね。大学3年生。自分では似ていると思っていなかった。髪型かな。別になんとも思っていなかった。きゃりーさんのファンが自分を見てくれて、そこから空手を知ってもらうきっかけになってもいいし、『ああ、似てる~』というところから知ってもらってもいい。どちらに転がってもいいと思っていた。空手が認知されることや、自分という人間を知ってもらえるきっかけになればいいかなと」

 ビジュアル先行で競技自体を見てもらえない可能性もあり、これに抵抗感を持つ女子選手もいる。自分から名乗り出たわけでもないのに、時に過剰な期待を集め、時に無用なマイナス意見を浴びせられることだってある。ただ、プラス思考の植草は「全然、なんとも思っていませんでしたよ」と振り返る。「嫌だったか」の問いには「いや、それはないですね。自分は注目されることが好きなので」と言い切った。

 大好きな空手を知ってもらえる。競技発展に繋がるかもしれない。キャラクター先行で実績がなくても、注目は一つのモチベーション。ありがたいと思うのは偽らざる本音だった。だが、実績が乏しい中で必要以上の脚光を浴び、異名が独り歩きしていることを感じていた。

「キャラクターの方が先走っていた。まだ全日本選手権も優勝していなかったし、世界でも優勝していないのにオリンピックの優勝候補って。それでキャラクターがどんどん先走っていた。テレビのマスコットキャラクターで終わりたくなかったので、注目され始めた時の全日本選手権は優勝したい気持ちが強かった」

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