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「日本野球は本当に特殊」 五大陸12か国を渡り歩いた野球人・返田岳が行き着いた真実

南アフリカ・ケープタウンリーグのシーズン中にコーチしたキッズチームの選手たちと最後の練習の後に【写真:本人提供】
南アフリカ・ケープタウンリーグのシーズン中にコーチしたキッズチームの選手たちと最後の練習の後に【写真:本人提供】

「#海外野球はいいぞ」に込めた意図「五大陸に広げれば無限なので」

 返田はYouTubeやツイッターで情報発信をする際、たびたび「#海外野球はいいぞ」のハッシュタグを付けている。その意図を聞くと、言葉を選びつつゆっくりと思いを明かしてくれた。

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「日本は横一線のレースが好きだと思うんです。みんな同じ条件に揃えて勝負する。海外ではスタートが違うし、持っている武器も、目指しているものも違う人たちがたまたま同じ環境でプレーしている。自分に欠けているものがあっても『それがお前自身だよね』と受け入れてくれる。持っていないもののことは気にせず、自分が見せたいもの、勝負したいものを評価してくれる、それが海外の考え方だと思います。

 持っているものを求めてくれないなら、求めてくれる場所を探せばいいんです。日本に絞れば数は限られるかもしれないけど、五大陸に広げれば無限なので。求めてくれるチームを探しさえすればいい、というのがここまで続けられている理由、海外はいいなと思う理由です」

 五大陸を制覇したが、まだまだ返田の旅は続く。「野球じゃなくてもいいというのが根底にあるんです。野球は選択肢の1つでしかない。野球を使って新しい場所に行って、いろいろな人と関わって、人生が豊かになって『面白かったな』となればいいんです」。ただ、今はまだ「野球選手」という選択肢を捨てるつもりはない。南アフリカはもうシーズンオフ。また世界のどこかで、白球を追いかける場所を探し求める。

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「それぞれの野球選手が、それぞれ自分に合った環境を見つけて、自分を発揮できて、周りの人も幸せになれるような選択肢を取れるようになればいいなと思います。日本の野球は本当に特殊で、特に学生野球はその最たるもの。そこにフィットできた人だけがすんなりNPB選手になっていると思います。そのルートから外れてしまっても、別の環境で生かすことができた選手はいくらでもいたはず。自分に合った環境を見つけて、すでにその環境にいる人たちにもより幸せな状況を作る。そんな選択肢を、多くの選手が取れたらいいなと思っています」

■返田岳(そりた・たける)

 1988年生まれ、山梨県出身。駿台甲府高から慶大に進学。3年時に学生コーチに転身し、一時プレーから遠ざかる。同大大学院を修了後、2014年に独立リーグ・大阪ゼロロクブルズに入団。15年にドイツのケルン・カージナルスに移籍し、その後はスイス、オーストラリア、ベルギー、米国、プエルトリコ、メキシコ、アルゼンチン、日本、ドミニカ共和国、スウェーデン、南アフリカと五大陸、12か国でプレー。ツイッターやインスタグラム、YouTubeでは「@nikosorit」のユーザー名で海外野球の情報を発信。野球選手の他、写真家などの一面も持つ。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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