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「年を取ると筋肉痛が遅くなる説」は本当か 加齢を悲しむより先に理解すべきこと

骨格筋評論家のバズーカ岡田氏【写真:編集部】
骨格筋評論家のバズーカ岡田氏【写真:編集部】

“加齢のサイン”だったとしても一喜一憂する必要はない

 以上を踏まえて、本題の「年を取ると筋肉痛が遅く出る説」についてです。これは、世間ではよく言われる説ですが、専門家の立場から言うと、はっきりいって出どころが謎です(笑)。考えられるとしたら、加齢からくる体の反応の遅れにより、筋肉痛の出現するタイミングも遅くなる、ということでしょうか。

 でも、実際にトレーニングをしている方々からは「年を取ると筋肉痛って遅くなるよね」という会話は、絶対に出てこないんですよね。このような言説からすると、実は年齢ではなく、その人がどれだけ筋肉を使うことに慣れ親しんでいるかが影響しているのでは? と私は考えています。

 また、「加齢と筋肉痛の出現の遅れ」については、個人的にもよく聞かれますが、確認したところで何か意味があるんですかね? 「年を取ったサインだよ」と聞いたらガッカリするだけじゃないですか!

 そんなことに一喜一憂することはありません。私の経験やトレーニーたちの言説からすると、筋肉はちゃんと向き合えば何歳でも成長しますし、体に対する意識を高めることだってできます。むしろ体の反応が速くなるぐらいの気持ち、若返るぐらいの気持ちでトレーニングを頑張れ、と言いたい。実際のメカニズムにはわからない点もありますが、あまり深くは考えず、とにかくトレーニングを楽しんでほしいと思います。

 ちなみに、筋肉痛がなくても筋肉は成長しますが、「今よりもイイ体になろう!」と決めたのであれば、筋肉痛が起こるくらいのトレーニングをした方がいいです。僕らは非常に重たい重量をベンチプレスなどで上げますが、たまに腕立て伏せをすると、不思議なことに筋肉痛がきます。おそらく、ベンチプレスでは使われない筋繊維が動くんでしょうね。強く見える体にもディテールを見ると弱いパーツ(筋繊維)は必ずあって、そこがダメージを受けて痛みを感じるのでしょう。

 ただし、痛みがなくても成長はするので、「筋肉痛が出なかった」としても深く考えすぎない方がいいと思います。

 僕は狙い通りに筋肉痛が出ると、「お、また筋肉が成長しているな!」と嬉しいタイプ。No Pain No Gain!です。でも、超トップクラスのボディビルダーの中には、「次のトレーニングで上げられる重量をわずかでもアップしたいから、筋肉痛を出さずにトレーニングできる方がいい」という方もいますからね! 次回のトレーニングに工夫を取り入れ、いい刺激を与えられるようにしましょう。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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岡田 隆

1980年、愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。バズーカ岡田公式サイトhttps://bazooka-okada.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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