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忙しい大人が、いざ階段を上ると疲れるワケ 「1~2階で息切れ」も2週間で変われる

「1~2階分で息切れ」は明らかに体力・筋力不足

 では、少しでも楽に階段を上るためにはどうしたらいいのか。ランや登山であればウォーミングアップをしたり、平地を歩いたりなど、準備体操を挟めますが、日常での移動中に、「さあ、階段を上るぞ!」と、突然、準備運動をする人はいませんよね。この場合は、階段を上る前に少し歩くだけでOK。移動効率を重視する方は、つい乗り換え用の階段になるべく近い車両に乗りますが、あえて階段から離れた車両に乗る。そして、降りたらしばらくホームを歩き、階段を上る。これだけで、準備運動になり、しんどさはグッと軽くなります。結果、「階段を使おうかな」という気持ちも生まれてくるでしょう。

 ただ、誰でも階段を上ると苦しいとはいえ、体力や筋量の少ない人とある人とを比べると、やはり少ない人の方が苦しさの度合いは上回ります。理由は、血液を循環させる能力が劣るためです。

 血液をスムーズに全身に巡らせるためには、特に下半身の大きな筋肉が必要です。下半身にしっかり筋肉があれば、筋肉のポンプ作用が心臓の拍動と協力し合い、血液循環がスムーズに行われます。逆に、筋肉が少ないと、心臓がかなり頑張って拍動し、弱いポンプで、必死に血液を回さなくてはいけません。

 今のあなたが、体力不足か否かは階段を上った時の感じ方でわかります。ビルの4~5階ぐらい上って、「少し苦しい」と感じる人は、30~40代であれば問題がない程度の体力と言って良いでしょう。しかし、1~2階分を上るだけで、息が切れてキツイという人は、明らかに体力・筋力不足です。「疲れた、エスカレーターを使おう」ではなく、「疲れた、体力と筋力をつけないとヤバイ!」と思ってください。そして、「歩きたくない」ではなく「よし、歩こう」と前向きな気持ちに変換し、階段を積極的に使うようにしましょう。

 まずは、毎日の通勤時に息が軽く上がる程度のスピードや階数の階段を上ったり下りたりを繰り返します。毎日続ければ2週間程度で、「あれ、前より楽に上がれるな」「体が軽いな」といった変化に気づくと思います。

 ポイントは、心臓と筋肉にかける負荷を少しずつ上げること。張り切りすぎると続きませんし、楽に感じる運動量では現状維持、もしくは低下します。通勤時の階段移動が楽に感じるようになったら、階段を一つ飛ばしに上る、会社の移動も階段を使う、という具合に工夫して強度を上げてください。気づいたら「4、5階程度は全然上れる」という体に変わっていますよ。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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中野ジェームズ修一

スポーツトレーナー

1971年、長野県生まれ。フィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/EP-C)。日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナー。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球・福原愛、バドミントン・藤井瑞希らの現役時代を支えたほか、プロランナー神野大地、トランポリン競技選手など、多くのトップアスリートから信頼を集める。2014年以降、青山学院大駅伝チームのフィジカル強化指導を担当。東京・神楽坂に自身が技術責任者を務める会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」がある。主な著書に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)、『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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