忙しい大人が、いざ階段を上ると疲れるワケ 「1~2階で息切れ」も2週間で変われる
忙しい大人向けの健康術を指南する「THE ANSWER」の連載「30代からでも変われる! 中野式カラダ改造計画」。多くのアスリートを手掛けるフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏がビジネスパーソン向けの健康増進や体作りのアドバイスを送る。
連載「30代からでも変われる! 中野式カラダ改造計画」
忙しい大人向けの健康術を指南する「THE ANSWER」の連載「30代からでも変われる! 中野式カラダ改造計画」。多くのアスリートを手掛けるフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏がビジネスパーソン向けの健康増進や体作りのアドバイスを送る。
健康のために思っても、いざ上ってみると、疲れを感じてしまう「階段」。結局、エスカレーターを使ってしまおう、なんて人も少なくない。忙しく働き、運動不足になりがちなビジネスマンにとって、どうすれば楽に階段を上れるのか。中野氏の見解は?
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階段を上る時、息切れがあったり脚が重くなったりすると「オレも若くないな……」とか「体力が落ちたなぁ」などとガッカリされる方は多いようです。しかし、そこはあまりガッカリするポイントではありません。実は、子どもでも大人でも、体力ある人でもアスリートでも、もちろん私でも、階段を上れば誰でも息は切れるからです。
階段を上がる際、一番「キツイなぁ」と感じるのは、どんなシチュエーションだと思いますか? 答えは電車やタクシー、バスなどで座って移動していたり、家で横になっていたりしていたところから、すぐに階段を上った時。なぜならいずれの場合も、“準備運動”をしていないからです。
運動前は当たり前に、準備運動をしますよね。ここで何を準備しているかというと「筋肉」「関節」そして「心臓」です。準備運動により体を動かすと、筋肉は温まり、関節は滑液が出ることで、動きやすくなる。そして、心臓は心拍数を上げて、筋肉を動かすのに必要な血液を送る準備を整えます。
安静時の人間の体には、約5~6lの血液が流れています。デスクワーク中や家でゴロゴロしている間は、5~6lの血液量で体を動かすことができますが、いざ、全身の筋肉を動かしはじめると、途端に血液量が足りなくなります。必要量は活動の強度により変わりますが、例えばランニング時に必要な血液量は約25l。安静時の約5倍です。
そして、走り始めた途端、5倍の血液量がドバっと拍出されるわけはなく、心臓がバクバクと拍動し、徐々に血液を体に補填します。特に、動き始めは少ない血液で何とか体を動かそうとするため、心臓は急激に心拍を速めるし、酸素も足りなくなって息も上がる。ランニングの走り始めや、登山の登り始めに、「苦しい」「脚が重い」と感じるのも、じっとしていたところから急に階段を上ると息が切れるのも、同じ理由です。