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夏の疲れ? 「気分が上がらない時の筋トレ」はどうすべきか、見直したい2つの要素

「心身を整えることが大切」と岡田氏は語る【写真:編集部】
「心身を整えることが大切」と岡田氏は語る【写真:編集部】

「心を整えるには体から整えていくこと」が重要

 第一に睡眠。暑さは深い睡眠を妨げます。室温のコントロールがうまくいかず、寝ている時も汗をかいていれば、発汗するために自律神経が休みなく働いているということ。つまり、休んでいるようで肝心の自律神経は休めていない状態です。まだしばらく寝苦しい夜は続くと思うので、躊躇なくクーラーを使ってその温度設定を見直しましょう。一方、クーラーをつけっぱなしだと、空気が乾燥し、喉や鼻の粘膜から風邪などの原因となるウィルスが侵入しやすくなります。また、体脂肪が少ない関節部分が冷えて痛くなる人もいるでしょう。加湿する、長そで長ズボンを着て寝るなど、環境を整えてください。

 次に食事です。あまりに暑いと、そばやそうめんなど、のど越しの良い物ばかり食べがちです。食べる気が起きない、これは暑さによって自律神経が疲弊し、食べる準備が整っていない状態になっている可能性があります。そして、タンパク質不足は体力を奪ったり、熱中症の原因になったりします。ゴツイ肉など食べる気が起きないかもしれませんが、ヨーグルトや牛乳、プロテインでもいいので、摂りやすい食品から、何とかタンパク質をとってほしい。また、発汗によって失われやすい、ビタミン・ミネラルも、野菜や海藻、そして玄米、大麦などの穀物からしっかり摂りましょう。

 結局、心を整えるには体から整えていくことが大事です。心と体はつながっています、というか一体です。栄養状態が良く、適切な睡眠で自律神経がしっかり休めてリフレッシュされていれば、体力も気持ちも上がります。睡眠時間が短く、飯も食べていなければ、思考は回らず、テンションも上がらない、そして力も出ないでしょう? それと同じことです。

 私たち競技ボディビルの選手も、減量期に入るとバーベルが重たく感じ、「トレーニングに行きたくない」という日が訪れます。なぜなら、激しい減量をすると、体が飢餓状態で興奮し、夜の眠りが浅くなるためです。すると、同じ睡眠時間をとっていても、翌日、バーベルが重く感じたり、心拍数が上がりやすかったりと、神経系の疲労が抜けていないサインが表れます。睡眠は、時間の確保はもちろん、質をいかに高められるかがとても重要です。まあそれは、全てにおいて同じですが……。

 この苦しい状態を整えていくことは、トレーニーとしてだけでなく、社会人として成長するチャンスでもあります。私自身も眠りが浅く、トレーニングの気分が上がらないという状態を通して、心身を整える大切さを意識し始めましたし、自分なりの整え方がわかってきました。睡眠や食事を見直し、普段からいいリズムを作るように心がければ、次の夏は元気に、快適に、トレーニングできる日々を送れると思います。これはトレーニングだけでなく、活力ある仕事や私生活を送る基礎、生きる力の基礎になると考えています。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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岡田 隆

1980年、愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。バズーカ岡田公式サイトhttps://bazooka-okada.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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