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憧れの「ベンチプレス100kg」は適切な目標か 重さに挑戦して生まれる“勘違い”

岡田氏は、挑戦すべきは「動きの質」だと語った【写真:荒川祐史】
岡田氏は、挑戦すべきは「動きの質」だと語った【写真:荒川祐史】

挑戦すべきは「動きの質」、むやみに重量を増やさなくても筋肉は変わる

 そもそも、重りなんて永久に挙がり続けられませんよね。誰でもいつかは、限界がくるのです。

 では、重りだけではなく、何に挑戦していくべきなのか? 私は、動きの質だと考えています。実は、むやみに重量を増やさなくても、体の動きを精密にコントロールしながらウエイトを挙げることで、筋肉の形がどんどん変わっていきます。しかも、体に優しい。

 私が通っていたジムは20代のボディビルダーがとても多いのですが、皆、力が強い。私が扱うウエイトの倍の重量を扱います。5年前の私だったら、そのことが恥ずかしくて、再び高重量に体を慣らし、さらなる挑戦をしていたか、逃げるように時間をずらしてジムに行ったでしょう。でも今は若い選手たちに「自分たちの半分の重さでも、岡田ぐらいの体は作れるのか」と見せた方がいい、と思うようになりました。やはり彼らには大きな怪我なく、良い競技生活を続けてほしい。そして、誰も達し得なかった高みに達してほしいと願う部分があるからです。

 ただ、励みとして目標の数値が欲しいという気持ちもわかります。まずは、自分の体重分の重さを、正しいフォームで10回、挙げることを目標にしましょう。女性はバーベル1本(約20kg)からスタート。おそらく初心者の方は、バーベル1本を挙げるのさえ、キツイと思います。

 私は「100kgの壁が破れない」と苦しむ人を大勢見てきました。もちろん、痛みや苦しみの先に見える強さもあるでしょう。100kgという数値目標は、体とうまく付き合えれば、成長を加速すると思っています。しかし、重りに対する見栄は捨てたほうがいい。そもそも、パワーリフターやベンチプレッサー(挙上できる重量を競う選手)になりたいわけではなく、“イイ体”になりたいんですよね? 数字などにとらわれず、質にこだわるトレーニングを大事にして、狙った部分を確実に成長させる精密なボディメイクに取り組みましょう。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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岡田 隆

1980年、愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。バズーカ岡田公式サイトhttps://bazooka-okada.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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