プロ野球監督も「柔らかくしなさい!」 40代から股関節の柔軟性を伸ばす方法
スポーツで大切な「パワーポジション」とは
力強く足をグッと踏み込んだとき、臀部の筋力が弱い人は、骨盤をしっかり固定できません。さらに、骨盤がグラグラと動けば、当然、上半身も安定しません。逆に骨盤が安定すると、上体も安定。これにより打ち返す際、パワーを発揮できます。
例えば、重たい段ボールを両手で抱え、床から持ち上げるとします。このとき、グラグラと動く不安定な床だった場合、いくら腕に筋肉がついていても、持ち上げる力が入りにくいですよね。でも安定した床の上で、両足で床をしっかり踏ん張ると、同じ重量の段ボールも楽に持ち上げることが出来ます。
このように、持っているパワーを最も発揮できる体勢を「パワーポジション」といいます。ところが体の中心である骨盤を固定できないと、骨盤の位置が動いてしまい、パワーポジションがとれません。すると、まさに質問者さんの言う脚の動きの悪さや、体重が足に乗らないという感覚、打球のスピードが落ちるといった現象につながります。
これはバドミントンだけでなく、テニス、サッカーなど片足で踏み込む動作が多い種目、体操であればジャンプする動作にも共通していえること。骨盤のポジションを固定できないと運動パフォーマンスの向上を阻む原因になります。
また、バドミントンでは脚を前に出して踏み込む動作が非常に多いのですが、このとき、殿筋で骨盤を固定できない人は、大腿四頭筋の力で体勢のグラつきを抑えようとします。するとどうしてもひざがグラグラと動いてしまう。結果、前十字靭帯断裂などのケガを起こす原因にもなります。
ちなみに、上体の安定を求めると、体幹、お腹周りの筋肉を鍛えてグラつきを抑えようと考える方が多いのですが、骨盤を固定する力を獲得するほうが先です。人間の上体を花の茎に例えるなら、骨盤は植木鉢。植木鉢がグラグラ揺れれば、いくら茎をワイヤーで固定しても、揺れたり、折れたりしますよね。同じく、骨盤のポジションが安定しなければ、いくらお腹周りを鍛えても上体は安定しません。
特に女性の場合、ホルモンの関係で年齢が高くなるほど筋肉も落ちやすくなります。股関節のストレッチだけでは、足幅は広がっても踏み込んだときの不安定さは増す一方です。
殿筋で骨盤のブレを抑えるトレーニングは、トップの選手でも行います。思いどおりに動ける体を作るだけでなくケガを予防する意味でも、大殿筋の筋トレをしっかり行いましょう。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)