最近、問題になっている不良姿勢「スマホ首」 首・肩のこりにとどまらない悪影響
頭の位置を修正する2ステップのストレッチ・メソッドを紹介
今回は動画で頭の位置を修正する、2ステップのストレッチ・メソッドを紹介します。このメソッドでは、最初に動的ストレッチで頸椎(首の骨)を積極的に動かし、血液の循環を高めます。そして、筋肉が伸びやすい状態にした後、静的ストレッチを行います。
動的ストレッチは、首だけでなく、肩甲骨も一緒に動かす点がポイント。首だけ動かす方法では、頸椎の可動範囲が非常に制限されますが、肩甲骨も一緒に動かすと、首の動きがぐっと大きくなります。また、関節の可動域が大きいほど筋肉もしっかり使えるので、僧帽筋上部や、僧帽筋に覆われた菱形筋など、頭を支える肩や背中の筋肉までしっかりほぐせます。
次の静的ストレッチでは、後頭部から首筋にある左右の板状筋がターゲット。このときも腕を背中に回しながら頭を前に倒すことで、僧帽筋上部までしっかり伸ばします。これらのストレッチを、できれば1時間に一度、仕事中、難しい場合はランチやトイレ休憩など手を止められる時間に、毎日、続けてみてください。
実は、頭の位置は体が力むことでも前に出やすくなります。私がフィジカルトレーニングを担当する青山学院大学の駅伝部の選手たちも、シーズンが佳境に入り、緊張やプレッシャーが強くなると、ランニング中もヘッドフォワードになりやすくなります。すると首回りの筋肉がガチガチに硬くなり、軽く触るだけで、悲鳴を上げるほどの痛みを訴える選手もいます。
ビジネスパーソンも同じく、大事なプレゼンを控えている時期、あるいは責任が重くなるポジションにつくなどの理由で、ますますヘッドフォワードになりやすくなります。ですから仕事中、「ちょっと力んでいるな」と感じたときにも、今回のストレッチはおすすめ。首回り、そして精神的な緊張によっても硬くなる僧帽筋上部をほぐすことで、首の位置を調整するだけでなく、気持ちの焦りや緊張をやわらげる効果も期待できるからです。
今年も、もうすぐ師走です。忙しくなるこれからの時期こそ、ときどきパソコンやスマホの画面から顔を上げ、首回りをリフレッシュしながら乗り切ってください。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)