女性誌でよく聞かれるダイエット質問 「ストレッチだけ」では痩せられない理由
ストレッチだけでは「痩せられない」が「痩せやすい体作り」はできる
ストレッチは先ほど触れた王道ダイエットの3原則のうち、どれに当てはまると思いますか? 迷った方、答えが出なかった方、正解です。ストレッチはどれにも当てはまりません。
まず、ストレッチでは筋肉量は増えません。筋肉をつけるには、強い負荷が必要であり、やはり「筋トレ」をしないとつかない。ときどき「ストレッチをすると翌日、筋肉痛になる」という人がいますが、それは筋肉を強く伸ばしたことによる炎症であり、筋肉痛ではありません。マッサージの揉み返しと一緒です。
また、残念ながら、消費カロリーも非常に少ない。
運動による消費カロリーを計算する際に指針となるのが、運動強度を示す「METs(メッツ)」という単位です。ストレッチをMETsに換算すると、2・5METs。これは、ごみ捨てとほぼ同じ運動強度です。つまり、「ストレッチだけで痩せられますか?」という質問は、「ごみ捨てに行けば痩せますか?」と聞いているのと同じなんです。
そして当然、ストレッチで栄養バランスが整うこともないですよね。以上のことから、「ストレッチだけ」で痩せることはできないのです。
ダイエット効果を期待するのであれば、ストレッチよりも、筋トレや有酸素運動のほうが優先順位は高い。さらに、筋肉の少ない人は有酸素運動をやっても消費カロリーが少ないため、筋トレを最優先することがもっとも効率がいいといえます。正直、ストレッチをする時間があったら、スクワットやその場で足踏み、ステップエクササイズをするほうが、遥かに早く痩せられます。
ただし、ストレッチがダイエットに与える効果はゼロではありません。
例えば体が硬い、あるいは不調のある人は、ストレッチから入る優しいアプローチもアリです。
体が硬いと、痛みを感じる物質が分泌されやすいので、どうしてもコリや痛み、そして疲れを感じやすくなります。一日中、仕事をしていたうえ、腰痛や肩こりを抱えた状態では、恐らく運動しようなんて気力は湧かないでしょう。
ストレッチを習慣にし、体が柔軟になれば、慢性的なコリや痛み、疲れが和らぎます。体の状態が改善されれば、歩くことやこまめに体を動かすことが苦にならなくなり、自然と日々の生活のなかで、活動量が上がってくると思います。
運動ができる体の準備が整うし、かつ快適な体にもなれる。すると、「運動してみようかな」という流れにもなる。うちのパーソナルトレーニングジムでも、体が硬すぎるというお客様には、まず体のコンディションを整えるところから入り、運動しやすい体を作りましょう、という計画を立てているんですよ。
ストレッチだけでは痩せられませんが、ストレッチだけでもやれば、痩せやすい体作りはできる。「いきなり筋トレや有酸素運動をやるのはムリ」「運動不足であまりにも体が硬い」「コリや痛みがある」という人は、まずはストレッチを始めてみてください。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)