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ブラインドサッカーと“声の力” 日本代表の緻密な指示と研ぎ澄まされる空間認知力

選手たちは「耳で得た情報を脳で映像化」していく

 こうした緻密な指示を出しているのは、どうやら日本の特徴らしい。

「かつてブラジルでフル代表、U-23、U-15が合宿している時に5日間くらい視察させてもらったことがありますが、ガイドは『右だ』『逆だ』『そこでシュートだ』くらいしか言っていませんでした。またスペインは、GKがスローをする時に平気で『ピヴォ!(最前線の選手)』なんて指示を出しているので、対戦相手も分かってしまいますよね(笑)。その点で他国に理解できない日本語は多少有利です」

 ブラインドサッカーに取り組むことで、選手たちのプライベートにも好影響が出ているそうだ。

「彼らは耳で得た情報を脳で映像化しています。サッカーでは刻々と変化する風景の中で動いているものを認知していく必要があるので、こうした空間認知などはどんどん研ぎ澄まされているようです。以前は時々電信柱にぶつかることがあったのに、それがなくなったなどという話も聞きます。選手たちとは、新宿南口とか、表参道のA4の出口などで待ち合わせをしても問題がありません」

 彼らの備える才能は、十分に尊敬に値し、国際的な大舞台に立つに相応しいものだと、改めて中川は感心している。

(文中敬称略)

(第3回へ続く)

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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