金メダル以上に求めるもの 女子ソフトの天才打者、東京五輪への想いとは
「頑張る『意味』が、そこにある」―競技継続への思い
五輪から除外されている期間も、13年からオフシーズンにアメリカのプロリーグに参戦。挑戦を続け、成長を追い求めてきた。東京五輪が行われる20年には36歳。肉体の衰えはあっても、培った経験と類まれな技術でカバーし、日の丸を牽引するつもりだ。「まずは出場できるように」と前置きした上で、並々ならぬ決意を明かした。
「自分の結果を出すのは当たり前と思っている。若い選手が力を出すための環境作り、声かけや流れを作ることを一番意識している。ソフトボールが次も採用されるかは、まだわからない状況。東京でやらせてもらえるのはソフトボールをどんどんアピールするチャンスでもある。
五輪競技じゃなくなって、競技人口も少なくなってしまっている現状もある。ソフトボールをする人がもっと増えてほしいし、そのためにはソフトボールって面白いなって思ってもらえるかが大事だと思う。見ていて楽しんでもえらえるようなプレーをしたい」
一人の選手として、ソフトボール界を背負う者として、栄光を経験しているから思うことがある。冒頭で北京五輪を振り返った時、「勝つことであんなにいろんな人が喜んでくれる」と言った後、ひと言、こう付け加えていた。
「頑張る『意味』というのが、そこにあるのかなと思っている」
3大会ぶりに復活するソフトボール。東京での盛り上がりが、目指す競技継続への「試金石」となるだろう。不遇の時代を過ごしながらも歩みを止めることはなかった山田。今、見つめているのは3年後の金メダル、そして、その先にあるソフトボール界の「意味」を守ることだ。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer