2、3分で子供の人気者になる向翔一郎 “はぐれもの”でも愛され、惹きつける人柄
東京五輪は31日、初採用の柔道混合団体戦が日本武道館で行われ、日本は決勝でフランスに1-4で敗れ、銀メダルだった。90キロ級の向翔一郎(ALSOK)は全3戦にフル出場し、今大会初のメダルを獲得した。
柔道混合団体銀メダルに貢献、日大コーチが語る向の人柄
東京五輪は31日、初採用の柔道混合団体戦が日本武道館で行われ、日本は決勝でフランスに1-4で敗れ、銀メダルだった。90キロ級の向翔一郎(ALSOK)は全3戦にフル出場し、今大会初のメダルを獲得した。
初戦のドイツ戦では先鋒の阿部詩、次鋒の大野将平が敗れる波乱。緊迫した場面で向に回ると、積極的な攻めで勝利し星をタイに戻した。ロシア・オリンピック委員会(ROC)との準決勝でも相手のラフな攻撃にひるまず、決勝進出に貢献した。
個人戦では3回戦で敗れた後、悔しさのあまり控室で号泣した。男子の井上康生監督は「必ず団体戦で金メダルを取らせて帰らせる」と声を詰まらせ、混合団体戦での向のメンバー入りをいち早く決断した。
その素顔は世代を超えて愛される好青年だ。日大時代、社会貢献のために実施したちびっこ教室では人気者。授業でも教員の目に留まる存在だった。
柔道部の藤田英臣コーチは「子どもたちの人気者になるのが早い。もう2、3分ですよね。かといって年長者からも大学の先生からも慕われる。人と壁がない。そういう人間性を持っていると思います。才能ですよね」と目を細めた。
日ごろから老人を敬い、朝練で公園を走ると談笑。後輩で付け人の前浜忠大は「朝早いので老人の方がいっぱいいらっしゃる。そこでコミュニケーションを取るんです。元気ですかー!って話しかけたり。一般の人に話しかけなくないですか。ご年配の方もすごいかわいがっているという感じでしたね」と明かした。
大学4年のとき、向は規則違反が重なり、退寮を命じられる。その最中に行われた講道館杯。決勝に進んだ向に声援を送っていたのは日大の柔道部員だった。
「ルールを破ったはぐれもので外に出されているのに、みんな応援しているんです。人を惹きつける魅力があるんだなって率直に思いました」(藤田コーチ)
フランス戦では敗れ、個人戦のうっ憤を完全には晴らすことはできなかったが、大舞台で生き生きとした存在感を示した。
(THE ANSWER編集部)