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革新的ラグビーか、底知れぬ修正力か NZ対南アフリカ、W杯4強の激闘から占う頂上決戦の行方

ボールを動かし続けるNZが王者の牙城を崩せるか

 1999年の第4回大会からW杯を取材してきたが、ゲームを離れてこれだけのボリュームとパッションで、特定の人物について語ったコメントを聞いたことはない。コリシの置かれた特別な環境も影響しているだろうが、主将の話を隣で穏やかな笑顔で聞いていたこのコーチが、他の選手とも深い絆を築いてチームを1つにまとめ上げているのは、想像に難くない。

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 そんなマインドの一体感も含めて、チームが極限の中でも、自分を信じ、仲間を信じ、勝利を信じたことが、この日の勝利の背景にある。日本代表が「ワン・チーム」「アワ・チーム」と、一体感を意識したスローガンを掲げてきたのも価値観は同じだが、その強固な絆は、どのチームも追い求めているものだろう。

 南アフリカについては、かなり感情的な話にはなったが、準々決勝、準決勝で見せた、致命的な状況になる前に自分たちのゲームを改善する修正力は、もはやこのチームの強みと言っていいだろう。そこにロースコアのゲームに相手を引きずり込む防御力と、PGに直結するスクラムの破壊力が絶対的な武器として準備されている。

 対するニュージーランドが、ボール・イン・プレーの時間からも読み取れるボールを動かし続ける強みをどこまでできるかが、世界一へのキーポイントだろう。王者・南アフリカの揺るがない強さを崩すのは容易ではないが、この大会での「挑戦者」は、好調なFLサム・ケイン主将を軸にした防御も大きな武器にしている。

 対照的なラグビースタイルの両チームによる勝負の行方は分からない。だが、勝ったほうが単独トップとなる4度目の戴冠という意味でも、真の最強を決めるのに相応しい世界最高峰の80分になることだけは間違いない。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)


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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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