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ラグビー日本代表に何が足りなかったのか 過去最高レベルのW杯8強、死闘に見た「世界との差」

ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は、日本代表が進めなかったベスト8による決勝トーナメントが始まった。10月14、15日の準々決勝4試合は、すべてが終盤まで勝者が分からない白熱の展開。現場のメディアの中では過去最高レベルの準々決勝という声も上がる名勝負が繰り広げられた。前回大会のベスト8超えという目標を逃した日本代表だが、戦いぶりを評価する声が聞こえる一方で、8強チームの激突を見れば日本代表との実力差も感じ取れる。ベスト8チームと比べて何が日本代表に足りないのかを、ハイレベルな準々決勝から考える。(取材・文=吉田 宏)

アルゼンチンに敗れ、1次リーグ敗戦となったラグビー日本【写真:ロイター】
アルゼンチンに敗れ、1次リーグ敗戦となったラグビー日本【写真:ロイター】

W杯フランス2023コラム、7大会連続取材「ラグビーライターの視点」

 ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は、日本代表が進めなかったベスト8による決勝トーナメントが始まった。10月14、15日の準々決勝4試合は、すべてが終盤まで勝者が分からない白熱の展開。現場のメディアの中では過去最高レベルの準々決勝という声も上がる名勝負が繰り広げられた。前回大会のベスト8超えという目標を逃した日本代表だが、戦いぶりを評価する声が聞こえる一方で、8強チームの激突を見れば日本代表との実力差も感じ取れる。ベスト8チームと比べて何が日本代表に足りないのかを、ハイレベルな準々決勝から考える。(取材・文=吉田 宏)

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「ここからが本当のW杯」とも言われる決勝トーナメント。プール戦で奮闘しながら敗退したチームには失礼ながら、毎回こんな話が聞こえてくるノックアウトステージは、今大会も期待を上回る死闘、熱闘続きで幕を開けた。

アルゼンチン 29-17 ウェールズ
ニュージーランド 28-24 アイルランド
イングランド 30-24 フィジー
南アフリカ 29-28 フランス

 準々決勝4試合中3試合が6点差以内、うち2試合が1トライで勝敗がひっくり返るというスコアを見るだけでも白熱した一戦であったことが窺えるが、試合内容も互角に渡り合う好ゲームばかり。12点差がついたアルゼンチンVSウェールズも、残り4分まで2点差の接戦という展開だった。午後9時キックオフだったパリ近郊のスタッド・ドゥ・フランスでは、日付が変わった記者室が心地良い疲労感に包まれていた。

 参考までに、日本で開催された4年前の準々決勝は20点差以上のゲームが3試合、2015年イングランド大会は、4点差以内が2試合だったが20点差も2試合で49点差という大差の勝負もあった。4試合の平均得失点差は過去2大会の19、20点台から今回は5.75に縮小している。番狂わせが少ないと言われてきたラグビーだが、世界の実力は今までにないほど縮まっている。

 その一方で、ベスト4を懸けた4試合の高いクオリティを見れば、プール戦敗退チームとの差も明らかにある。直接スタジアムで取材したニュージーランドVSアイルランド、南アフリカVSフランスで4チームが見せたパフォーマンスを見れば、今回の日本代表の世界との格差も浮かび上がる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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