敗退ラグビー日本に欠けていたこと エディー・ジョーンズの分析、次回W杯へ問う「日本が進むべき道」【特別観戦記】
次回大会に向けて問われる「日本の進むべき道」
勝負は時の運ではあるものの、4年後の次回大会に向けて、日本はこれまで通り、世界のパワーに対抗する術を探りながら、スピードとスキルの正確性や安定感に磨きをかけていくこと。それこそが日本の進むべき道だと思います。
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今大会を通じて、日本で最も光った選手はSH(スクラムハーフ)の齋藤(直人)でした。そもそも、流(大)に次ぐ第2SHとして大会を迎えたものの、流(大)の怪我によりサモア戦から先発。素晴らしい動きや素速いボール出しでゲームをコントロールしていた。ファンタスティックの一言です。
4年後は、齋藤や主将を務めた姫野(和樹)、松田(力也)、長田(智希)らが中心選手となるでしょう。日本が成長し続けるには、今回彼らが得た経験を日本に持ち帰り、しっかりと仲間や次の世代に伝えていくことが大切です。これまでは2015年からW杯出場を続ける稲垣(啓太)、リーチ(・マイケル)、松島(幸太朗)らが、その経験を仲間に伝え、チームに安定感をもたらす核となってきた。彼らから学び、引き継いだものを、今度は齋藤や姫野たちが次世代に伝える責任があるのです。
W杯で計り知れないプレッシャーを感じながらプレーするという経験は、何にも代え難い特別なものです。1試合1試合が持つ意味の大きさは、他の試合とは比べものになりません。百聞は一見にしかず、ではありませんが、経験がすべて。今回の経験を生かし、日本がさらなる成長を遂げることを祈っています。
■エディー・ジョーンズ / THE ANSWERスペシャリスト、ラグビー豪州代表HC
1960年1月30日生まれ。豪州出身。現役時代はフッカーを務め、ニューサウスウェールズ州代表。92年引退。教職を経て、96年に東海大コーチになり、指導者の道へ。スーパーラグビーのブランビーズなどを経て、01年豪州代表HC就任。03年W杯準優勝。イングランドのサラセンズ、日本のサントリーなどを経て、12年日本代表HC就任。15年W杯は「ブライトンの奇跡」と呼ばれる南アフリカ戦勝利を達成した。同年、イングランド代表HCに就任し、19年W杯は自身2度目の準優勝。今大会は豪州代表HCとして出場している。近著に「プレッシャーの力」(ワニブックス)。
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)