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消えた“勝ち点1”に見えた難敵サモアの脆さ ラグビー日本代表、W杯D組突破へ次戦突くべき弱点

ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で日本代表のいるプールDは、22日(日本時間23日)にサモアがアルゼンチンに10-19で敗れたことで混戦模様が高まった。日本にとっては、28日(同29日)にトゥールーズで対戦するサモアが「勝ち点0」で敗れたことは朗報だった。前半は豪雨の影響もあり、ハンドリングミスなど精度の低さを露呈した“南太平洋の暴れん坊”。日本が直接対決で、どこまで相手のミスをスコアに繋げ、完成度の高いゲームをできるかが、プール戦突破の焦点になりそうだ。(取材・文=吉田 宏)

ラグビー日本代表【写真:ロイター】
ラグビー日本代表【写真:ロイター】

W杯フランス2023コラム、7大会連続取材「ラグビーライターの視点」

 ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で日本代表のいるプールDは、22日(日本時間23日)にサモアがアルゼンチンに10-19で敗れたことで混戦模様が高まった。日本にとっては、28日(同29日)にトゥールーズで対戦するサモアが「勝ち点0」で敗れたことは朗報だった。前半は豪雨の影響もあり、ハンドリングミスなど精度の低さを露呈した“南太平洋の暴れん坊”。日本が直接対決で、どこまで相手のミスをスコアに繋げ、完成度の高いゲームをできるかが、プール戦突破の焦点になりそうだ。(取材・文=吉田 宏)

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 豪雨から一時晴れ間が出る目まぐるしい天候が、プールDのこれからの上位争いを象徴するようなバトルだった。戦前の暫定順位で2位につけていたサモアが敗れたことで、試合終了時の勝ち点でサモア(5)、日本(5)、アルゼンチン(4)が三つ巴の様相となった2位争い。23日(同24日)にイングランドがチリを71-0と圧倒して勝ち点14と着実にリードを広げたことで、決勝トーナメント進出を懸けた3チームによる争いが、さらに厳しさを増している。

 大会の順位規定を説明しておこう。参加20か国(地域)が5チームずつ4組に分かれてプール戦を戦い、各組上位2チームが決勝トーナメントに進出する。プール内の順位は勝ち点(勝ち=4点、引き分け=2点、負け=0点、4トライ以上獲得、7点差以内の敗戦=1点)で争われ、同数の場合は[1]直接対戦の勝者[2]得失点差[3]得失トライ数差[4]総得点[5]総トライ数[6]世界ランキングで順位を決める。

 すでにイングランドに敗れている日本は、残るサモア、アルゼンチンに勝てば2大会連続の8強入りになるが、次戦のサモアに敗れれば、アルゼンチンとの最終戦の勝利と、相手の勝ち点次第という難しい状況に置かれることになる。世界ランキングでも日本の14位に対して、サモアは11位、勝ったアルゼンチンは10位と上位につける。

 サモア戦がさらに苦しい戦いになる理由は、7月の直接対戦で22-24と敗れたという現実だ。終盤の追い上げで2点差と迫ったが、相手もベスト布陣を封印してきた前哨戦だった。

 ラグビーを統括する「ワールドラグビー(WR)」の大きな規約変更が、南太平洋に浮かぶサモアにも大きな追い風を送り込んだ。22日に公開した記事でも紹介したので参考にしてほしいが、サモアは過去2度のW杯で日本が快勝している相手ではあるが、この規約変更によりニュージーランドなど海外強豪国で代表を経験した選手がサモア代表としてプレー可能となり、飛躍的に戦力を高めている。過去の成績は参考にならない。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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