「初めての光景だった」 熱狂のトップリーグ開幕、W杯戦士たちは何を感じたのか
熊谷で感じた熱狂、稲垣「『これは勝たないといけないな』と」
「熊谷で(ほとんど)満員というのはトップリーグで初めてじゃないですか。試合開始する前、たくさんのファンの方が目に入って『これは勝たないといけないな』と思いました」
試合後、空席がほとんどない客席を見渡していた稲垣啓太はこう語り、感激を隠そうとしなかった。ベテランの堀江翔太は「良かったですよ。めちゃくちゃ人が入ってくれましたし、ホームでやってるって感じがしました」と満足げ。「クボタはやりにくかったと思います。代表に入ってない選手はちょっと緊張したみたいです」とも打ち明けた。
主将の坂手淳史が「ゲームをしている中でも、今までのトップリーグにない熱いものを感じました。大歓声の中でゲームができたのは、我々にとって大きな一歩だったと思います」と言えば、2トライを奪った福岡堅樹も「これだけの観客がいて、素直にうれしい。日本代表以外にも個性をもった選手がいるので、注目をしていってもらえれば」と語った。
しかし、大事なことはこの熱を継続し、もっと大きな盛り上がりを作っていくこと。それが、本当の意味でラグビー文化の成熟につながっていく。それぞれが、すでに課題を感じていた。
「ラグビーの認知度に関しては間違いなく2015年より上がった感じはする。ただ、2015年は一過性で終わらせてしまった我々の反省でもあるし、同じミスをしないために選手がどうあるべきなのか。選手はグラウンド上でしか表現できない。まずグラウンドでしっかり結果を残すこと。W杯もそうだけど、勝たないと皆さんも応援し甲斐がない。勝つことでお返しができれば」(稲垣)
「(文化にするために)選手はひたむきにプレーするしかない。今日の試合でさらに興味を持ってもらえたと思う。(にわかファンは)今日の試合でこれからサントリーにつくか、東芝につくか(決まる試合)だったと思う。もっといいプレーを見せたい。日本のラグビーを引き続き、応援よろしくお願いします」(リーチ)
「選手はみんな頑張っている。あとはそれぞれのチームの宣伝を頑張ってほしい。今日はフィジカルで迫力あるプレーを見てもらった。バックスのシーンをもっと見てもらいたい。(子供たちに向けて)クオリティーの高いプレーを見せて憧れの存在でいないといけないので、今日よりも多くのいいプレーをしたい」(松島)
堀江は「数万人の会場でやるのはなかなかないので、それがどんどん続けば、日本ラグビーにとってもプッシャーの中でプレーするというのはいいことだと思います」と満員の会場がラグビー強化にもつながると思いを述べた。
ラグビーW杯の熱狂から2か月あまり、全国6会場で延べ11万6737人が沸いた「1.12」。この日がラグビー新時代の幕開けとなるか、それはすべて今後にかかっている。いずれにせよ、日本ラグビー界にとって、重要な船出となったことは言うまでもない。
(THE ANSWER編集部)