指先の美しさに表れた羽生結弦の“伝えたい”想い 5000人の鳴りやまない拍手が示した祈りの到達
幕張公演初日、純白の衣装に身を包んだ羽生結弦は「ダニーボーイ」のピアノの旋律をなぞる様に、眼前に掲げた両手の指を折り曲げた。羽生の表現はいつも丁寧で繊細だ。
フォトグラファー・矢口亨のフォトコラム
フィギュアスケートのアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」幕張公演が24日、千葉・幕張イベントホールで初日を迎えた。「THE ANSWER」ではフォトグラファー・矢口亨氏のフォトコラムを掲載。今回は2014年ソチ、18年平昌と五輪連覇したプロスケーター・羽生結弦の演技。
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幕張公演初日、純白の衣装に身を包んだ羽生結弦は「ダニーボーイ」のピアノの旋律をなぞる様に、眼前に掲げた両手の指を折り曲げた。羽生の表現はいつも丁寧で繊細だ。
自分の気持ちを誰かに伝えるのは難しい。ましてや、言葉よりも曖昧なフィギュアスケートという表現。その難題に向き合う大変さを、羽生自身が一番よく分かっている。だからこそ、一音一音に想いを乗せて舞う。伝えたいという想いの強さが、指先の美しさに表れている。
「ダニーボーイ」の音楽が終わり、会場が暗転した。5000人を超える観衆がスタンディングオベーションで29歳の青年を讃えた。鳴り止まない拍手は、希望への祈りを込めたプログラムが会場の人々の心に「届いた」ことを示していた。
(矢口 亨 / Toru Yaguchi)