「愛せるものが勉強と柔道」 朝比奈沙羅、代表落選の裏で貫いた文武両道の“美学”
目的地はパリ五輪に変更「私の姿を見て文武両道でいようと思う人がいれば幸せ」
朝比奈はこれまで文武両道で生きてきた。医師の両親を持ち、幼いころからの五輪金メダルと医師になるのが夢。進学校の東京・渋谷教育渋谷高から柔道の名門・東海大へ。医学部を受験したが、不合格となり、体育学部に進んだ。それでも、畳上の厳しい練習の合間に予備校の机にも向かう。そして今年10月、独協医大の医学部医学科のAO入試に合格した。
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トップ選手では珍しい医学部合格。模範となるような両立だが、本人はそれを誰かに示したいわけではなかった。
「人に勉強しないといけないとか言うつもりはない。自分には頑張れるものがある。何か愛せるものがあるということは、いいことだと思う。その中で私が愛せるものが勉強と柔道だっただけ。人に文武両道をしなさいと言うことはない。ただ、私の姿を見て文武両道でいようと思ってくれる人がいれば、幸せなことです」
医学とともに全身全霊を懸けて走ってきた柔の道。来年夏の夢舞台にはたどり着けなかった。ただ、目的地を失ったわけではない。
「これで引退ではない。まだまだやるつもりでいます。練習の一秒、一秒が自分の最後になると思って大切に生きていきたい」
来年4月からパーク24に所属しながら、医者の卵になる。道の続きは24年パリ五輪に向かっている。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)