NZ記者が見た「まぐれではない」日本の強さ 運命の南ア戦を占う「日本の弱点は…」
日本の快進撃は目の肥えたNZファンにも人気「国民は日本チームを愛している」
強豪国から堂々とトライを奪い、逆転劇を演じてきた日本。脚光を浴びつつあるのが、戦術家のブラウンコーチである。2016年11月から日本を支えるブラウンコーチは、ジョセフHCのスーパーラグビー・ハイランダーズ時代からの右腕。「攻撃の魔術師」として海外でも高い評価を受けてきた。ライト氏は言う。
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「トニー・ブラウンの影響も大きいと思う。攻撃面で戦術を組み立てる能力がある。ブレイクダウンを避けたりするようなプレーは傑作だ。アイルランドを下したのはまぐれではないし、スコットランドを退けたのも運がよかったからではない。ニュージーランドの人々は日本と対戦せずに済んでラッキーだと話している」
FW陣のスクラムが世界と互角以上の戦いを見せているとはいえ、体格面で劣るのは日本の宿命。タックル後のボール争奪戦となるブレイクダウンを避けるスタイルにライト氏は驚いている。では、4連勝の快進撃を見せるチームの弱点は何だろうか。同氏が南アフリカ戦を占った。
「南アフリカは6人のフォワードがベンチにいる。だから、日本の弱点はライン、ブレイクダウン、スクラムになってくるだろうね。日本はそこを避ける。南アフリカはボールを蹴ってラインを上げて、モールからトライする。それが弱点だ。それ以外では日本は有力な勝ち候補だね」
今年9月6日のテストマッチでは7-41で敗れ、通算対戦成績は1勝1敗だ。今回の先発には松島幸太朗、福岡堅樹の両WTBが名を連ねた。1次リーグ4試合で奪った13トライのうち、松島が5本、福岡が4本。ライト氏は「南アフリカはワイドにボールを送らせないようにしてくるだろう。なぜなら、松島はおそらく今大会で最も危険なウィングだからね」と、日本の誇るトライゲッターを評価している。
桜のジャージが日本列島に熱狂の渦を巻き起こしているが、目の肥えたラグビー最強国のファンも魅了しているという。
「(日本チームは)有名だね。日本の人たちがオールブラックスを好きなことはみんな知っているし、トニー・ブラウンやジェイミー・ジョセフなどの関係を通してニュージーランドの人々は日本のチームを愛しているんだ。それに下馬評を覆す快進撃もある。日本が大切にするものの中核にある“敬意”と“おもてなし”の精神は、マオリにも通ずるものがある。だから、ニュージーランドの国民は日本に関心を持ち、多くの人が応援しているんだと思う」
3連覇を狙うニュージーランドは、19日の準々決勝でアイルランドを圧倒。互いに勝ち進めば、対戦するのは決勝だ。ライト氏は最後に「ジェイミー・ジョセフたちにはエールを送りたい。決勝で待っているよ」と笑った。快挙を成し遂げ続ける日本は、どこまで駆け上がることができるのだろうか。日本の快進撃に世界も注目している。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)