「緊張で10日寝られなかった」“強気の男”田村が漏らした本音に見た、日本苦戦の理由
終わってみればボーナスポイントつきの勝ち点5を獲得しての白星スタートを切った日本代表。試合後のプレスルームでパソコンのキーボードを叩く手を、テレビから聞こえてきた選手のコメントに一瞬止めてしまった。
常に強気の発言を繰り返してきた男が漏らした極限の心理状態
終わってみればボーナスポイントつきの勝ち点5を獲得しての白星スタートを切った日本代表。試合後のプレスルームでパソコンのキーボードを叩く手を、テレビから聞こえてきた選手のコメントに一瞬止めてしまった。
「ずっと緊張していました。緊張で10日くらい寝られなかった」
決して不思議じゃない心理状態だが、手を止めるほど驚いたのは、その言葉の主がSO田村優だったからだ。2015年大会前から代表でプレーする田村だが、取材では常に強気の発言をしてきた。たとえば、試合5日前のコメントはこんなものだった。
「(ワールドカップで目指したい攻撃の形を聞かれて)試合を見てください」
「(前回大会の五郎丸の役割りを担うという質問に)僕、五郎丸さんじゃないので」
「(SOの出来がチームを左右すると思うが――という質問に)まずラグビーは15人でやるスポーツなんで」
あまりにもうんざりする質問内容の影響もあったが、常に物怖じしない発言が、いまや田村のキャラクターとなっている。だが、この日は開幕戦に臨んだ心理状況を素直に語っていたのだ。
もちろんこの日のプレーぶりを見れば、強気の発言を控えた理由がわかるはずだ。キックオフのボールを主将のFLリーチ・マイケルが捕球ミスすると、そのボールを背後のNO8姫野和樹がノックオン。そのミスが伝播したように、田村も自陣インゴールからのキックをロシア選手にチャージされ、直後のFBウィリアム・トゥポウの捕球ミスから先制トライに結び付けられた。