菊谷崇×廣瀬俊朗・後編 今明かす4年前の真相、南ア撃破の裏にあった“ビデオ”の意味
4年前の結果で日本代表がリスペクトされる存在に
――未だに4年前の大会が語られ続けてますが、あの南アフリカ戦がもたらした意義とは何だったのでしょうか。
廣瀬「日本代表に対してのリスペクトが、日本ではもちろん、世界からも得られたのは大きかったんじゃないでしょうか。僕らは日本の雰囲気はわからないところもありましたが、現地では見られ方が全く変わった。南アフリカを倒した日本チームだと、街で声かけられるようになりましたから」
菊谷「エディーさんが監督になった時に、(日本代表が)日本で憧れの存在になりたいと話していた。それは結果を残すということだけじゃない。例えば、ビデオメッセージが集まった話にしても、こっちが言う前からみんなが色々と凝ったものを送ってくれたりもした。ああいうのは、すごくいいなと。(ビデオに関しては)結果が出る前でしたけど、ある程度、“日本の中でのラグビーの地位”という意味では達成していたところはあったのかなと思います」
廣瀬「本当にそう思いますね」
菊谷「ちょうどあの時期に高校代表のコーチやっていて、高校生の好きなチームがオールブラックスじゃなくて、日本代表になっていた。それは大きいですよ。今ならだれに憧れているんだと聞いたら、田村優の名前が挙がったりする。海外のスター選手じゃなくて、そういう名前が出るのはうれしい。僕が代表になりたての頃は、日本代表の選手に憧れるというのはあまりなかった。
そういうのも考えると、2015年というのは本当に大きかった。今は試合に行くと、ファンがみんな日本代表のジャージを来て盛り上がるけど、15年前なんかだと代表戦でも客席はガラガラ。誰も代表のジャージを来てないわけですよ。そういう意味では本当に大きく変わったと思います」