「いかに日本を強く愛せるか」 日本代表リーチ主将が明かすラグビーW杯の鍵
「なりたくなかった」代表キャプテン、今では「桜のジャージは誇りです」
2014年、当時のエディ・ジョーンズHCからキャプテンの大役を任された。日本国籍を取得したとはいえ、ニュージーランドで生まれ育った事実は変わらない。「なりたくなかった。純粋な日本人じゃないし、最初の頃はすごく気にしました」と苦笑いを浮かべる。だが、腹を括ってキャプテンを拝命。一旦引き受けた責任は全力で果たすのがリーチ流だ。「やり始めてからは気にしなくなった。今は全然意識していません。桜のジャージは誇りです」と言うと、厚い胸板をさらに前に突き出して、誇らしげな表情を浮かべた。
【特集】「いかに日本を強く愛せるか」 日本代表リーチ主将が明かすラグビーW杯の鍵 / ラグビー リーチマイケル選手(GROWINGへ)
ワールドカップに向けて最終調整の場となるパシフィックネーションズ(PNS)では、初戦のフィジー戦(釜石)に34-21で快勝すると、続くトンガ戦(花園)では41-7の完勝を飾った。選手誰もがきつかったと振り返る直前の宮崎合宿での成果、そして2015年の前回大会で見つけた課題を乗り越え、進化したジョセフジャパンの形が見えた瞬間だった。
4年前のイングランド大会では、南アフリカ代表に34-32で勝利する番狂わせを演じた。今大会でも同プールとなったスコットランド代表に敗れたものの、3勝1敗の堂々たる成績を残した。だが、日本は得失点差で涙を呑み、決勝トーナメント進出を逃した。周囲からは得点力不足を指摘する声が多く上がった中、リーチは戦いの中に身を投じた選手にしかわからない課題を挙げた。
「一番の課題は、疲れた時にいかに高い精度のプレーができるか。言うのは簡単だけど、実際に行動に移すのは大変です。疲れた時は周りの状況を考えないで、どうしても個人プレーになってしまう。連携できなくなれば一気にやられちゃう。あと、しんどい時は先のプレーを予測する能力も落ちます。でも、強いチームはそこが強い。疲れた時にチームとして動けるかどうかが大事です」
選手の自主性を重んじるジョセフHCの下、自ら感じた課題の解決に取り組んだ。疲れた時にもうひと踏ん張り。その意識をチームに徹底させた結果、「だいぶ上がってきています。世界トップクラスのところまで来ている」。PNSでの戦いぶりを見ても、リーチの見立てが間違っていないことは明らかだ。